【這い上がってきたユーティリティー】エマニュエル・ギャシのプレースタイル分析

イタリアに移住したガーナ人の両親のもと、シチリア島のパレルモで生まれたギャシ。4歳のころガーナに移住し、11歳で再度イタリアのトリノ県に移住。プロ・ヴェルチェッリとトリノFCのユースで育成を受けた。

2013年にトリノFCとプロ契約を結んだものの、キャリアの最初の5年間は武者修行に費やす。ピサ、マントヴァ、カラレーゼ、ピストイア、ズュートティロルと5年連続で異なる3部クラブにレンタルに出され、技を磨いた。

結局トリノではプレーすることなくスペツィアへ移籍したギャシは19-20にクラブとともにセリエAへ初昇格。20-21にガーナ代表デビュー、22-23にキャプテン就任と充実した3年間を送り、今季からエンポリへ活躍の場を移している。

ちなみに、ギャシはバンディネッリとのトレードという形でエンポリに加入している。バンディネッリは昨季までのエンポリのキャプテンであり、主将同士のトレードという珍しい形の移籍劇となった。

 

ギャシ様々なポジションでプレーできる選手である。 最も多く起用されているのは左ウイングだが、右サイドも問題なくできるし、ウイングだけでなくウイングバックもやれる。中盤3センターの一角や最前線の中央など、ピッチの真ん中でもプレーできる。 セリエAの中でも特にユーティリティー性の高い選手だと評価できる。

transfermarktより、ギャシの今季の出場ポジション。どこが本職か分からないくらい様々なポジションで起用されている(LM、RMはともにウイングバック)。

 

 

どのポジションでも起用できるのは、ギャシがオン・ザ・ボールよりもオフ・ザ・ボールに特長のある選手だからだろう。

たとえば、サイドで起用された試合でも、タイミングよくインサイドに侵入してプレーできる。今季でいえば、中央からサイドに流れるカンビアーギと入れ替わってインサイドに入り相手を幻惑する場面が多くみられる。

↓ カンビアーギと入れ替わってインサイドに侵入したところから裏抜け出し決定機を迎えた場面

 

彼はオフ・ザ・ボールを活かして得点を生み出すプレーヤーでもある。

understatより、ギャシのゴールに関してシュートを打った位置をピッチ上にプロットし、期待値の大きさを円の大きさで表現したもの。

 

上の図を見ると、ギャシのゴールのほとんどがPKスポットよりも前、なんならゴールエリア内からシュートを打っていることがわかる。円の大きさ、つまり期待値の大きさも特徴だ。

サイドで起用されている試合でも、中央に入ってきてフリーでタップインするのがギャシの得意な形。いわゆるワンタッチゴーラーなのだ。

これは今季のデータにも表れていて、シュートを打った位置はチーム内で2番目にゴールに近い数値となっている。

ちなみに、1位はCBのヴァルキエビチで、セットプレーからのフィニッシュゆえに短距離になっていると考えられる。

ギャシはオープンプレーでゴール前に侵入してのフィニッシュを繰り返しているためにこの数字になっているととらえるべきだろう(そのため、PKを除いたゴール期待値はチーム内でトップだ)。

 

逆に言えば、得点が難しい局面からのゴールは少ない。そして、その局面を打開する能力も高くはないギャシはスプリント力もアジリティも凡庸で、ドリブル突破には限界がある

サイドからのクロスボール精度もそこまで高くなく、アシスト能力も特別高いわけではない

あくまで使われる側としてプレーしたときに輝くのがギャシだ。 ひところでまとめると、よきチームプレーヤーである、ということになるのだろう。

 

3部で長くプレーしていたところから這い上がってきた苦労人であるギャシ。ようやくたどり着いたセリエAの舞台で、さらなる得点を重ねてほしいものだ。

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