【パレルモで覚醒?】フィリッポ・ラノッキアのプレースタイル分析

9歳のころ、モンテ・マルべ・フットボール・スクールでサッカーを始めたラノッキアは、2013年にペルージャのユースに加入。2008年にプロ契約を結んだ。
ペルージャでのプレーぶりに目を光らせていたのがユベントスだ。2019年1月30日に保有権を買い取り、2シーズンユベントスU-23でプレーさせている。
その後、ヴィアチェンツァ、モンツァ、エンポリへのレンタルを経て、今冬にパレルモに完全移籍。ついにはユベントスのトップチームでのプレーはかなわないまま移籍していくことになった。

ちなみに、Ranocchiaとはイタリア語で「カエル」という意味だ。

 

今季前半はエンポリでプレーしていたラノッキア。中盤ならどこでもプレーできる選手だが、ここ数シーズンは守備的MFとしての起用が多かった。

ラノッキアのベースにあるのは精度の高いキックだ。しかも、右利きながら左足でもほとんど変わらない精度のキックを繰り出せる。両利きに近い選手だ。

この能力を活かし、長短のパスで攻撃を組み立てる司令塔として機能する。特にロングパスへの積極性ではエンポリのスカッドの中で見ても群を抜いていた。

 

また、相手からプレッシャーを受けたときにボールを守る能力が高いのもラノッキアの長所。相手の重心の逆を突くフェイントや、細かいダブルタッチなどを駆使して相手を丁寧にはがしていく。こうした相手の虚をつくセンスは誰にでもまねできるものではない。

相手からのプレスを受け、半身でボールを遠ざけながら状況を認知するラノッキア。
体をひねりながら縦パスを供給して2枚を置き去りにした。体の向きで自分の意図を相手から隠した好プレーだ。

さらに、ロングレンジのキックを得意とするラノッキアはミドルシュートを得意とする。相手を押し込んだ状態で前向きにボールを受ければ、積極的に狙っていく。

 

↓ ユベントスvsモンツァの親善試合で決めたミドルシュート。利き足ではない左足だ。

 

また、プレースキッカーとしても優秀だ。昨シーズンにはACミラン相手に見事な直接フリーキックを決めている。

 

一方で非保持に関しては課題を残す。特に目立つのはボール奪取に関する技術力の拙さだ。フィジカル的に優れているわけではないラノッキアは、その不足を技術によって補う必要がある。しかしながら、現状ラノッキアはボール奪取に優れているとはいいがたい。

相手に体を入れられている状態で強引に奪おうとしてラフなファウルとなりカードをもらうような場面が多く見受けられる。90分あたりのイエローカード数は今季のエンポリの中でもトップの数字だった。

 

このように、ボール保持に長所が偏り、非保持に関しては課題を残すラノッキアは、「コンダクター」と分類できるだろう。グラッシと似ているが、ラノッキアの方がよりボールタッチが多く、ロングレンジのパスが出せるため持ち味は異なるだろう。

 

ただし、パレルモ加入後のラノッキアはプレースタイルを変えつつあるようだ。 3センターのインサイドハーフとして起用され、積極的にゴール前に進出、加入後7試合で4ゴール1アシストと大活躍を見せている。

プレーエリアが広いわけではないため、アンカーとして起用されていた時には前線へ顔を出す場面は少なかったラノッキア。ポジションを変えたことによって新たな側面を引き出されたようだ。

 

↓ パレルモでの初ゴール

 

かつてはセリエAの常連クラブであり、ディバラやカバーニ、ミッコリ、パストーレ、イリチッチなど名手を次々と輩出していたパレルモだが、2019年に深刻な財政難によってセリエDへの降格処分を受けた。 そこから2年連続の昇格でセリエBに復帰し、シティ・フットボール・グループの一員となって迎えた今シーズン、現在プレーオフ圏内の6位につけている。

同じシティ・フットボール・グループのジローナFCがラ・リーガで2位につけ旋風を巻き起こしていることは記憶に新しい。もしパレルモがセリエA昇格となれば、注目が集まること請け合いだ。

すでにチームの中心となっているラノッキア。ぜひともパレルモとともにセリエAの舞台に舞い戻ってほしい。

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