【ただのクロッサーにあらず】アンヘリーニョのプレースタイル分析

スペインのガリシア州で生まれたアンヘリーニョ。本名はホセ・アンヘル・エリモリス・タセンデである。

彼は10歳でデポルティボの下部組織に加入して5年間プレーした後、高校のカテゴリーに入るタイミングでマンチェスター・シティの下部組織に加入した。

シティではFAカップ1試合のみの出場にとどまり、その後MLSのニューヨーク・シティにレンタルに出されて実質的にはアメリカでキャリアをスタートさせたという異色の経歴の持ち主だ。

その後スペインとオランダを渡り歩き、オランダのPSVでブレイクしたというのもこれまた異色だ。18-19にエールディビジで1ゴール9アシストを記録している。

その後、マンチェスター・シティに出戻った後はドイツで4年間プレー。そして昨夏加入したレンタル先のガラタサライが、あと1試合出場したら買取条項が発効されるのを嫌ってベンチに座らせていたところに救いの手を差し伸べたのがローマだった。

ちなみに、現在の背番号69はマンチェスター・シティのトップチームで初めて着けた思い入れのあるものだそう。ニューヨーク・シティ、NACブレダなど、事あるごとにこの背番号を選択している。

 

加入直後から早速ポジションを奪ったように見えるアンヘリーニョ。彼の最大の強みが高精度のクロスボールだ。

特にアウトサイドレーンからのクロスボールが際立って高精度で、相手のプレッシャーが届かない範囲から一気にチャンスを作り出す飛び道具として機能する。

 

〈ペナルティエリア外から通したクロスボール〉

  • 20-21:28(欧州5大リーグ9位)
  • 21-22:36(欧州5大リーグ5位)
  • 22-23:29(欧州5大リーグ6位)

 

と、ここ3シーズンは欧州5大リーグトップ10に入るクロス成功数を記録している。まさにワールドクラスの左足の持ち主だ。

また、ライプツィヒでWBとして起用されていた時期には得点力も発揮していた。タイミングよく中央に侵入したり、左足から強烈なミドルを繰り出したりと、直接ゴールを生み出していた。

 

という前情報を持っていたので、筆者はアンヘリーニョのことを典型的なクロッサーSBと思い込んでいた。

ところが、実際のプレーを見てみたら、それ以上に目を引いたのは高いレジスタ性能だった。

低い位置でボールを受けると、長短のパスで攻撃を組み立てていく。鋭いくさびで攻撃のスイッチを入れたかと思えば、細かいパスアンドゴーを繰り返して組織的に相手のプレスを破壊することもできる。浮き球で相手の頭をフワッと超すこともでき、サイドチェンジも蹴れる。

キックの精度、戦術眼ともに申し分なく、サイドのレジスタとしてもハイレベルだったのだ。シティのユースで鍛えられた部分かもしれない。

たとえば、この場面。アンヘリーニョは味方に縦パスを入れ、自らはスペースヘラン。
ダイレクトで落としを受けることで、味方に無理をさせない。
その間に相手の背後に回ったペッレグリーニにダイレクトパスを入れることで、相手のMFラインまで突破することに成功した。パスによってだけでなく、このように動きを交えた連携によっても相手のプレッシングを突破できる。

サイドバックに対して組み立てに参加することを求めるデロッシ・ローマにあって、アンヘリーニョは低い位置でレジスタとして機能しつつ、アタッカーの斜め下にサポートしてボールを受ければアーリークロス、というひとつの流れを確立しつつある。

低い位置でも、高い位置でもプレーできる能力はまさにマスターSBに分類するにふさわしいだろう。

 

一方で、非保持時の守備対応には若干の緩さがあるのが気になるところ。ここまで5試合に出場して記録したタックルはわずかに1、ブロック数も2のみだ(それだけチームとしての守備が機能している裏付けでもあるのだが…)。

また小柄であるためクロスボールでファーサイドを狙われたときに怖さがあること、またスプリント能力がそこまで高くないことなどフィジカル面でも不安要素が散見される。

 

とはいえ、ボール保持を軸にチームを組み立てたい監督ならだれもが欲しがる能力を持つアンヘリーニョ。今冬最大の補強だったと言っていい。

今シーズン終了までにどこまで評価を高めるか注目だ。

コメントを残す