【無骨な仕事人】ラスムス・クリステンセンのプレースタイル分析

6歳の頃にブランデIFというクラブでサッカーを始めたクリステンセンは、2012年にデンマーク屈指の強豪ミッティランに加入、そのままプロデビューを果たしている。

その後、1年半アヤックスでプレーしたのち、オーストリアのRBザルツブルクで3シーズンプレー。声価を高めて昨季はリーズ・ユナイテッドでプレーし、今季はリーズからのレンタルという形で、ASローマでプレーしている。

これまでのキャリアではアヤックスでリーグ優勝・カップ戦優勝各1回、ザルツブルクで3度のリーグ優勝・カップ戦優勝各3回と、計8つのタイトルを獲得している。

なお、背番号43はデビュー当初につけていた番号であり、ミッティラン退団後もアヤックス、ザルツブルク、ローマでこの背番号をつけ続けている。

 

クリステンセンを一言で表すならば、「質実剛健」である。187cmと大柄なサイドプレーヤーである彼は、地上戦・空中戦ともに対人に自信を持つ

ピッチの縦幅を単独でカバーできる運動量と、90分間それを持続できる持久力は見事だ。ロングスローも武器とするなどフィジカル面に関しては非常に優れた能力を持っている。フィジカル的に欠点と言えるのはスピードくらいだ。

ザルツブルク時代には副キャプテンに就任し、ウルマーが不在の試合ではキャプテンマークを巻いたクリステンセン。勤勉ゆえに模範的なキャプテンだったであろう。そう思わせるのは、プレーからその真面目さが伝わってくるからだ。いや、もはや髪型からも真面目さがあふれ出している。

彼の真面目さがよく出ているのがオフ・ザ・ボール。カウンター時には精力的に攻撃参加して厚みを加え、CBがボールを持ったタイミングでは素早くポジションを取り直して選択肢を提供する。ともに、ポジションを取り直すスピードが非常に速いのがGOODだ。

様々にストロングポイントを持つクリステンセンだが、その中でも最も大きな武器が得点能力だ。サイドバックをベースポジションとしながら、ここまでのプロキャリアで通算20ゴールを記録している。特に、ザルツブルク最終年となった21-22には7ゴールをマークした。

ここまでのキャリアでは、アシスト数よりも得点数が多いシーズンがほとんどになっている。

FBref.comより、クリステンセンを5大リーグのサイドバックと比較したときの相対的なスタッツ傾向。得点に関して非常に優れた数値を残していることがわかる。

彼の得点パターンは二つ。ひとつは逆サイドからのクロスボールに頭で合わせて決めるというそれ。空中戦の強さを活かし、第2のストライカーとして機能する。

もう一つがミドルシュートだ。状況に応じてペナルティエリア手前のスペースに侵入するのを得意としているクリステンセンは、味方のラストパスを受けて、あるいは相手のクリアボールを拾って、ミドルシュートを放つ。昨季もペナルティエリア外から2ゴールを決めており、相手にとって脅威となる飛び道具だ。

 

様々な強みを持つクリステンセンだが、ここまでの試合出場は先発16試合。完全にスタメンをつかんでいるとはいいがたい。実際にプレーを見てみても、そのポテンシャルを完全に発揮しているとはいいがたいだろう。

原因は、チームの構成にあると見る。今季のローマの中心はディバラだ。彼の項を見てもらえばわかる通り、ディバラは右ハーフスペースから攻撃を司る。ゆえに、ローマの攻撃の中心地は右サイドになる。

一方で、クリステンセンはことボール保持に関しては味方からのクロスボールの受け手となったりこぼれ球を拾ってからのミドルシュートを放ったりと、最後の仕上げの部分を担うときに輝く選手。

反面、テクニックに関しては凡庸なので、後方からの組み立ては得意ではないし、狭い局面での細かい連係プレーも得意ではない。連係プレーを得意とするディバラの補佐役を求められるローマの右サイドバックとしては好ましくない欠点だ。

SofaScoreより、今季のクリステンセンのヒートマップ。アウトサイドレーンのみに色がついていることがわかる。
ザルツブルク最終年のクリステンセンのヒートマップ。アウトサイドレーンだけでなくハーフスペースでもプレーしているのが特徴的だ。

ディバラにハーフスペースを譲るため、クリステンセンはアウトサイドレーンを上下動しながらプレーしている。

しかし、クリステンセンが最も輝くのはピッチ片側を全面的に任され、上下左右にダイナミックにふるまった時なのだ。チームがダイナミックな戦術を採用しているとなお良いだろう。

一方で今季のローマではより狭い局面でのプレーを強いられている。デロッシ政権移行後はよりボール保持を重視する戦術に舵を切っており、逆風が吹いているといっても過言ではない。

 

決して器用ではないクリステンセンだが、自分にできる範囲内の求められた仕事をきっちりとこなす仕事人だ。

チーム構成的に逆風が吹く中、スタメンの座を確固たるものとできるか注目だ。

 

 

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