【長谷部に学んだ新世代CB】エバン・エンディカのプレースタイル分析

フランスの首都パリで生まれたエンディカは、パリのクラブを経てオセールの下部組織に入団、リーグ2(フランス2部)でプロデビューを果たしている。

18歳になったエンディカはドイツの強豪フランクフルトに引き抜かれて5シーズンプレーし技を磨いた。長谷部とともに最終ラインを構成し、鎌田ともプレーしている。

21-22にはリーグ戦4ゴール4アシストの活躍を見せて注目を浴びたが残留、2023年夏の契約満了を待ってフリーでローマに加入し今シーズンを迎えている。

パリ生まれのエンディカはユース年代まではフランス代表としてプレーしていた。一方で父はカメルーン人、母はコートジボワール人であり、A代表の選択が注目された中、エンディカは2023年6月にコートジボワール代表からの招集に応える。今冬にはアフリカネイションズカップ優勝に主力として貢献しており、さっそく実力を見せつけている。

 

そのアフリカネイションズカップで、エンディカはとある記録を更新した。大会を通して367本のパスを成功させ、単一大会でのパス成功数の新記録を樹立したのだ。

これは決してフロックではなく、ローマにおいてもパス関連のスタッツは優れたものを残している。90分あたりでのパス成功数はチーム内3位、パス成功率は2位である。

非常に高いパス成功率を記録しているエンディカだが、これは確実に通るパスを選択して配球しているからだ。彼のパス出しは非常にシンプル。遠くのパスがリスキーだと判断したら無理はせず、隣のMFやSBにボールを預けた上でポジションを取り直し、また受けて角度を変える。1本のパスで打開するのではなく、簡単なパスを何本もパスをつないで相手をずらしながら攻撃を組み立てていくのである。

そのため、エンディカはロングボールが非常に少ない。FBref.comによれば、今季ここまで17試合に出場している中で、記録したサイドチェンジはわずかに1本だ。

難易度の高いくさびを積極的に供給しながらも高いパス成功率を記録しているジョレンテとはプレースタイルが全く異なるということだ。

下の動画にてクライフターンによる突破を見せている通り、足元のテクニックレベルは非常に高い。にもかかわらず、それをひけらかすことなく堅実な選択を続けている。

 

彼の堅実なスタイルは守備にも表れている。エンディカはタックルもインターセプトも数としてはそこまで多くない。しかしながら、タックルの成功率は高い数字を記録している

守備時にもエンディカは無理をせずにいいポジションを取り、相手についていく。そうしてここぞのタイミングでタックルを仕掛けるのだ。マンチーニとは対照的な守り方である。

これを裏付けるのは非常に高いフィジカル能力だろう。エンディカのスプリント能力は驚異的で、相手にスピードで振り切られることはまずない。アジリティにも優れており、相手のドリブルに対してついていける。

そのため、相手の出方を見てから対応しても無理が効くのだ。

また、空中戦も得意分野。特にセットプレー時に脅威となれ、ここまでキャリア通算12ゴールのうち半分の6ゴールを頭で奪っている。

 

攻守ともに能力値の高さを見せるエンディカだが、まだまだ改善できるポイントもある。

前述のように安全なパスをつないで攻撃を組み立てるエンディカだが、持っているテクニック的にはもっと積極的にくさびを入れたり、サイドチェンジで相手を揺さぶったりと言ったプレーができる選手のハズだ。時に消極的に過ぎる場面も散見される。

FBref.comより、ローマにおけるファイナルサードへ通したパス数のチーム内ランキング。エンディカはマンチーニの半分以下になっている。

また、ボールの置き所が悪い場面も見受けられる。パス選択の角度が狭まる(もしくは、広げるためにはひとつ持ち出す必要がある)ようなボールの持ち方をしてしまう場面があるのだ。こうした細かい部分の修正はイタリアの得意分野のハズなので、ローマのコーチに教えを乞うてほしい。

また、HVとしては攻撃参加が少ないことも挙げられる。これも彼の堅実さの表れだろうか。

 

エンディカは非常に高いポテンシャルを持っているCBだ。CB分類マトリックス上で見ると、能力的には十分にポジショナルCBとしてプレーできるにもかかわらず、現在のプレーはハードマーカーにとどまっている、という評価になるだろうか。

今後の成長次第ではクリバリのような攻守に完全無欠のCBになることだって可能なはず。まずはローマでの1シーズンをどのように終えるのか注目したい。

 

コメントを残す