
9人兄弟の末っ子として生まれたチェリクは、母国トルコのブルサスポルユースを経て、レンタル先のトルコ3部カラカベイスポルでプロデビュー。翌年、同じく3部のイスタンブールスポルへ移籍してプレーした。
その後、イスタンブールスポルの3部優勝に貢献し、翌季も2部で好パフォーマンスを継続したことによって注目を集め、2部にいながら2018年にトルコ代表初招集を受け、翌年にはリーグアンの強豪LOSCリールに引き抜かれるというサクセスストーリーを歩むことになる。そのため、トルコでは1部でのプレー経験がない。
リールでも戦力として定着し、PSGを押しのけ優勝した20-21でも主力として活躍したチェリクは、2022年夏にASローマに引き抜かれ、今季2シーズン目を迎えている。
近年攻撃面での貢献度が高い選手が重宝される傾向があるサイドバックにおいて、チェリクは守備力に特長があるプレーヤーだ。
対面のアタッカーに対してボールが入れば素早く距離を詰めて圧力をかけ、タイミングを見計らって積極的にタックルを仕掛ける。
リーグアン時代から通してみてもタックルに関する数値は非常に多い部類に入っていて、チェリクが優れたタックラーであることを表している。
サイドで縦に仕掛けられたときも、しっかりとついていってクロスボールをブロックできる。このクロスブロックができるサイドバックは意外なほどに少ない。これだけでも大きな武器と言えるだろう。
一方の保持時には、オフ・ザ・ボールの面で強みを持つ。低い位置ではボールの動きに合わせたポジション修正の早さが際立つ。素早く角度を作り、CBやMFに対して選択肢を提供する。
ただし、その後ボールを受けた後はシンプルな散らしで潤滑油になるところまでが彼の役割で、相手のプレスを打開する鋭いくさびなどは持ち合わせていない。特にプレス耐性が低いように見えるのは気になるところだ。
また、味方アタッカーにボールが入った時には鋭いスプリントによって積極的にサポートする。この時にアウトサイドだけでなくインサイドにも侵入できるのがチェリクの強みだ。

チェリクはリール時代の4シーズンで6ゴールを挙げており、オープンプレーから得点にも絡めるサイドバックとして鳴らした。タイミングのいいランニングでペナルティエリア内に侵入できていることがうかがえる。
一方で、アウトサイドでボールを持った場面でのプレーには課題を残す。特にクロスボールの精度は要改善である。単独での突破力も持っておらず、基本的には味方のサポートを待ってボールを預けることが多くなっている。
ローマに来てからのチェリクは2シーズンでわずか1アシスト。リール時代にも、初年度の18-19で5アシストを記録して以降、2もしくは3アシストで推移しており、チャンスメイクという面ではあまり能力が高い選手ではないのだ。
彼のプレー特性からして、1人でアウトサイドレーンを担当しなければならないWBでは強みが活きにくい。このチェリクの苦手項目をまさに求めていたのがモウリーニョ。だからチェリクが起用される場面が限られたのではないだろうか。
一方、1列前にアタッカーがいる4バックのサイドバックなら、得意のオフ・ザ・ボールが活かしやすい。ゆえに、デ・ロッシ体制への移行はチェリクにとってはアピールのチャンスだといえる。
このチャンスをつかんで定位置奪取なるか注目だ。