【ベルギー史上最高のストライカー】ロメル・ルカクのプレースタイル分析

ロメル・ルカクはコンゴ人の両親のもと、ベルギーで生まれた。

プロサッカー選手であった父の影響を受けてベルギーでサッカーを始め、名門アンデルレヒトのユースを経て16歳3か月でプロデビューを果たした。すると、初年度から14ゴールを挙げて弱冠17歳にしてベルギーリーグ得点王となってしまった、という怪童である。

その後、エバートンやマンチェスター・ユナイテッドを中心にイングランドでキャリアを積み重ねたルカク。徐々にトーンダウンした後、2019年に加入したインテルで全盛期を迎えることになる。

2シーズンで公式戦95試合に出場、64ゴール17アシストを記録し、20-21シーズンのセリエA最優秀選手となったのだ。

翌年満を持して加入した古巣チェルシーでは期待を裏切り、昨年はインテル復帰、今季はローマに活躍の舞台を移すなどキャリアが定まらずにいるが、まだ30歳。もう一花咲かせられる年齢だ。

ルカクはベルギー代表の歴代最多得点者でもあり、113試合で83ゴールを積み上げている。ちなみに、2位は昨年引退したアザールの33ゴール。ルカクが頭3つ抜けている。ベルギーの歴史に名を刻むストライカーだ。

ちなみに、菊地亜美に似ている。

そんなルカクの特徴は何なのか。

まずはポストプレーについて。見るからに大柄なルカクは、相手を背負って時間を作るポストプレー、いわゆる背負いポストが非常に得意であるように見える。

実際、一度ルカクに背負われると彼の前に出ることができるDFはいない。しっかりと抑え込んでボールを収め、確実に基準点となる。いや、それどころか相手を背負ったままグイグイと押し込み、強引に深さをとることだってできる。

圧倒的なパワーにより起点となるルカク。ローマは彼めがけて長いボールを送り込むことを戦術として組み込んでいる。

↓ ルカクの強引な深さ取りにより生まれた得点

しかし、彼が本当に輝くのはワイドポストを行った時だ。右サイドに流れてボールを収め、そこから持ち前のパワーと爆発的なダッシュ力を活かして強引にDFを振り切り、左足でカットインしながら仕掛ける

という一連の流れを戦術として組み込んだコンテの采配によって、ルカクは20-21にセリエA最優秀選手を獲得する活躍を見せる。カットインしながら仕掛け、自らフィニッシュするか、横に構えるラウタロにアシストを決めるかを選択できる環境が整っていた。

これだけ得点を重ねているルカクだから、フィニッシュセンスは抜群だ。左足インフロントでコースを狙うシュートが得意技なのだが、普通の選手よりもシュートにスピードとパワーが乗るため止められにくい。

相手が前に立っていてもゴールを射抜けるセンスを持っており、ミドルフィニッシュタイプに分類できるだろう。

また、左足だけでなく右足でもほとんど精度が変わらないフィニッシュができるのも強力だ。

understats.vomより、直近5シーズンにおけるルカクのゴールについて、シュートを打った位置とゴール期待値の大きさをピッチ上にプロットしたもの。

上図を確認してみると、ペナルティスポットよりも前から打った期待値の大きいシュートと、それよりも遠く、期待値の小さいフィニッシュの数があまり変わらないことがわかると思う。

ルカクが相手が前に立っている状態からのフィニッシュによって多くの得点を挙げていることがよくわかるのではないだろうか。

↓ インテル時代の全ゴール

さらに、ルカクは味方を活かすプレーにも秀でている。ポストプレー時はもちろんのこと、ゴールに向かって仕掛けていく場面でも冷静に味方を使おうとする。時にシュートを打った方がよかったんじゃないかという場面があるくらいだ。

それゆえ、ルカクは毎シーズン少なくないアシストを積み上げてきているのだ。

↓ ルカクが細かい連係の中でも機能できることを示した場面。

総合的な能力が非常に高いルカク。だが、ここ数シーズンは本領を発揮できずにいる。

その最大の原因が、メンタル面の充実度がプレーに大きく影響することらだと思う。

移籍に関する発言がバラバラである(インテル・チェルシー両方を上げる、今年に入ってサウジリーグを賞賛するなど)、インテル公式インスタグラムがルカクがゾマーにストップされた画像をアップしているのを見てフォローを解除するなど、今っぽい言い方ではメンヘラな一面がある。

実際にプレーを見てみても、チームの絶対的中心に据えてもらったシーズンには活躍しているものの、強力な競争相手がいると本領を発揮できないことがほとんど。メンタル面とプレー面の連動性が非常に高いと感じる。ここが、世界のトップ・オブ・トップに上り詰めるにあたって障壁となってしまっている。

また、プレー面でいえば、長身のわりに空中戦が得意ではなく、ヘディングの技術もそこまで高くない印象だ。かといって相手のマークを外す細かい動きを得意としているわけでもないため、クロスボールに合わせて決めるゴールがそこまで多くないのだ。

あくまでも前向きに仕掛けたときに怖さを発揮する、地上戦を得意とするストライカーという印象である。

重心を低くしてカウンターを志向し、その絶対的中心にルカクを据えた20-21シーズンには、世界トップクラスの輝きを見せたルカク。同じような環境に今後出会えるのか、それとも自らの殻を破るのか…。まずは今季ローマでどこまで得点を積み重ねるのか見てみたい。

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