【ファラオーネ】ステファン・エル・シャーラウィのプレースタイル分析

スイス系イタリア人の母とエジプト人の父との間に生まれたエル=シャーラウィ。その出自から、「ファラオーネ(エジプト語で『王』の意)」の愛称で親しまれている。

ジェノアで16歳にしてデビューすると、セリエBのパドバにレンタルされた10-11シーズンにブレイクしてセリエB年間最優秀選手賞を受賞。これに注目したACミランに買い取られたファラオーネは、5シーズンをロッソネロで過ごす。

12-13シーズンには19歳にして16ゴール5アシストを記録し(このシーズンのチーム得点王だ)、世界でも有数の若手アタッカーとして注目を浴びた。しかしながら、その後度重なる負傷に泣かされ思ったようなキャリアを築けなかったのが残念だ。

モナコへのレンタルを1シーズン経て2016年1月にはASローマへ移籍。途中2年間上海申花でプレーしたものの、再度ローマへ戻って現在を迎えており、通算でのプレーは今季で7シーズン目だ。

 

エル=シャーラウィが最も持ち味を発揮するのが広大なスペースが広がった場面だ。要するにカウンターである。

ブレイク当初からスピードスターとして鳴らし、クリスティアーノ・ロナウドとも比較されたエル=シャーラウィ。31歳になった現在もスプリント能力は健在だ。

スピードに乗った状態でボールを持ち、ドリブルで仕掛けていくのがエル=シャーラウィの十八番である。

トップスピードでもボールタッチが乱れず、常に足元にボールを置きながら、細かくドリブルのコースを変更していく。大きなフェイントや切り返しを使わずに、コース取りの微妙な変化だけで相手の間を縫っていく独特なドリブルが彼の持ち味だ。

今季ここまでチームで2番目のドリブル突破試行数を記録している。

 

↓ 得意のドリブル突破からアシストした場面。

 

また、エル=シャーラウィはアシストよりも得点が多いタイプのプレーヤー。ローマでは7シーズン半で公式戦通算58ゴールを記録している。

下の動画は3年半前のものだが、エル=シャーラウィの得点パターンが把握しやすい。

ひとつはスピードを活かしてライン裏に飛び出してからのフィニッシュ。もうひとつが右足でカットインしてからのコントロールショットだ。

 

また、非保持時の守備への献身性もエル=シャーラウィの持ち味だ。

FBref.comより。エル=シャーラウィは今季ディフェンシブサードで10回のタックルを記録している。これは攻撃的なポジションの選手の数値としては非常に多い。

非常に献身的にプレスバックを行い、サイドバックをサポートする姿勢を見せるエル=シャーラウィ。自分が1対1で対応することになったとしても、持ち前のスピードを活かして簡単に振り切られず、ついていける。

こうした能力があるため、モウリーニョ前監督からは左のウイングバックとしても起用された。

本来のポジションである左ウイングだけでなく、2トップの一角でもウイングバックでも機能するユーティリティー性もまたエル=シャーラウィの持ち味のひとつだ。

 

↓ エル=シャーラウィのボール奪取から生まれた得点シーン。

 

能力値が高いエル=シャーラウィなのだが、彼はデビュー当初期待されたほどのプレーヤーにはなれずにいる。

それは、広大なスペースを得られる場面では非常に輝く反面、相手に引かれてスペースがない局面だと凡庸な選手に成り下がってしまうからだ。

エル=シャーラウィのドリブルは非常に直線的であるという特性上、短い距離で相手をかわしきることが難しい。スピードに乗っていなければ、コースの変更だけで狭いスペースを打開することは難しいのだ。

そのため、引かれた相手を打開することが難しいのである。

また、エル=シャーラウィはクロスボールがあまりうまくない。利き足ではない左足はもちろん、カットインしてから右足で放つクロスボールもそこまで高精度ではない。そのため、エル=シャーラウィのアシストはクロスボールによってではなく、グラウンダーの折り返しからのものがほとんどになっている。

そして、インサイドに入ってのプレーもあまり得意ではない印象。360度相手に囲まれた状態で素早くボールを離すプレーが得意ではなく、かといってボールを守れるフィジカルにも乏しいのだ。

 

このように、プレースタイルはチャンスメーカーというよりもフィニッシャー寄り、アウトサイドでのプレーを得意としてカウンターで最も輝く。という特徴から、「カウンターエース」に分類できるだろう。

これからキャリア終盤に向かうにあたって、このままローマでのプレーを継続するのか、それともプロビンチャのエースとして第2の春を謳歌するのか、注目したい。

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