
ブレシア出身のグラッシは、7歳の時にアタランタユースに加入して以降アタランタユース一筋でプレー、19歳となった14-15シーズンにトップデビューを果たしている。
2015年冬にナポリに引き抜かれたものの、直後の1ヵ月超の負傷離脱により出遅れ、そのまま試合出場ゼロで退団、幻のナポリの選手となった。
その後はアタランタ、SPAL、パルマ、カリアリを渡り歩いて2022年夏からエンポリでプレー、今季が2シーズン目となっている。
グラッシのベースポジションはアンカーだ。今季のエンポリでも3センターの底でプレーする試合が多くなっている。 この位置から攻撃を組み立てるのがグラッシの最も得意なプレー。いわゆるレジスタである。
グラッシは少ないタッチでボールをさばいてチームにリズムを生み出すタイプのレジスタである。動いては捌き、また動いてボールを引き出す。自分の動きは最小限にとどめて、ボールを動かして試合を組み立てていく。
現代サッカーにおいて、レジスタは最も厳しい圧力にさらされるポジションである。しかしながら、グラッシは小さなスペースを見つけて動き直す立ち位置の微調整に優れており、狭いスペースでもボールを引き出せる。
さらに、ボールを受けるときには周囲の状況を認知し終えているため、相手の動きに応じた最善の選択が可能だ。



レジスタが厳しい圧力を嫌って最終ラインに落ちていくのは現代サッカーにおいて日常の光景となっている。しかし、グラッシはめったに最終ラインに降りない。ライン間の狭いスペースでのプレーを苦にしないからだ。
戦術的な要素に優れているからこそ、狭いスペースでもあわてずシンプルにプレーすることができるのだ。

グラッシはフィジカル的には凡庸だ。スプリント能力も、フィジカル的な強さもない。 そのため、広範囲を動いて鋭いタックルで相手の攻撃の芽を摘み取るようなプレーは得意とはしていない。
一方で、インターセプト能力に関しては高いレベルにある。相手のボールホルダーの目線や受け手の動きなどを見ながらパスコースに入り、カットする。これも彼の戦術眼のなせる業だろう。
攻守両面において「センス」を感じさせるグラッシ。いわゆる古典的なレジスタであり、選手分類マトリックス上では「コンダクター」に分類できるだろう。
個人的にはミニ・ジョルジーニョと呼ぶべき選手だと思う(本家ほど長いパスは出さないが)。よりボール保持に軸を置いたビッグクラブで見てみたいタレントである。 29歳と、まだ老け込む年齢ではない。これから全盛期を創出できるか注目したい。