
エトリト・ベリシャは現アルバニア代表の正守護神にしてキャプテンだ。
コソボの首都プリシュティナでアルバニア人の両親のもと生まれたベリシャは、8歳の時に地元のサッカークラブ、KF2コリクでサッカーを始めた。当初は背番号を7を背負ってプレーする左サイドアタッカーだったそうで、のちにGKに転向している。
その後、当時非公認だったコソボ代表のコーチの伝手でスウェーデンリーグのカルマルFFのトライアウトに参加し合格を掴んだベリシャは、そのままスウェーデンでプロデビュー。3シーズンを戦い、最終年の2013年にはスウェーデンリーグ最優秀GKに選出されるなど活躍。その後2013年夏にラツィオに移籍して以降、11年間をセリエAで過ごしている。
なお、ラツィオ加入時にベリシャはひと悶着起こしている。
夏のメルカート期間中だった7/31、キエーボがベリシャと契約したと公式発表したものの、ベリシャ自身が「合意はしたが、契約はしていない」と否定したのだ。そしてその1ヵ月後、ラツィオとの契約を発表したのだ。この件をキエーボがFIFAに提訴し、出場停止処分が下るかどうかという論争が繰り広げられた。
結局この提訴は取り下げられ、ベリシャは13-14のセリエA外国人年間最優秀GK賞を受賞することになった。
つい先日35歳の誕生部を迎えたベリシャ。平均年齢が高いGKにあってもベテランの域に差し掛かっているベリシャだが、そのプレースタイルは非常に現代的だ。
まず、ビルドアップでの貢献度が高い。積極的にCBの間に入ってボールを受け、循環させていく。プレス耐性の高さは特筆もので、相手にプレッシャーをかけられてもボールを持つことでCBにパスコースを作る時間を提供する。そしてパスコースの開通を待ってパスを通し、雑なクリアに逃げることを回避するのだ。
そればかりか、引いてきた2列目のアタッカーにくさびを供給し、プレスを打開することまでやってのける。


モダンGKの走りであるエドウィン・ファン・デル・サールがロールモデルであると語るベリシャ。その言葉通り、セリエAでプレーするベテランGKとしては最もモダンなプレースタイルを持つプレーヤーだと評価できる。
ちなみに、テクニックに自信があったベリシャはスウェーデン時代にはPKキッカーを務めており、3シーズンで4得点を記録している(すべてPK)。
また、スイーパーとして最終ライン裏をカバーするプレーもお手のもの。積極的に飛び出して処理する。クロスボールに対する飛び出しも積極的だ。
たとえば、年齢が一つ上のルイ・パトリシオが典型的なゴールライン型のGKであったのと比較すると、ベリシャがいかに先進的なスタイルだったかがわかるだろう。
また、セービングに関しても悪くはない。 特に至近距離からのシュートに対する反射神経は素晴らしい。キャリア終盤に差し掛かった今も衰えは見られない。
一方で、課題となっているのが1対1対応とディストリビューションだ。 1対1になった時、ベリシャは股を閉じるように内またで座り込むようにしてブロッキングを行う。足元を通されないことを優先にするスタイルだ。
このスタイルだと、足元を通されにくい一方で作れる面の面積が狭くなってしまう。両脇をシュートが通されやすい状態となってしまうのだ。そのため、1対1になった時に跳ね返す確率が低くなっている。ベリシャは線が細いので、その間を抜かれないためにこうしたスタイルをとるのは仕方がないのだが…。
また、ディストリビューションに関しても課題が残る。足を抜いて倒れ込むまでのモーションが遅く、処理しきれない失点が散見されるのだ。
カプリーレがケガから復帰して正守護神の座を明け渡しているベリシャだが、まだまだ正守護神としてやれるクラブがあるはずだ。安価で獲得できる第2GKを求めているクラブにとっては優良案件だろう。キャリアの最期をどこで迎えるのかも注目したい。