
ASローマのユースでプレーしていたカンチェリエリは、ローマがマラシュ・クンブラを獲得する際の人的補償としてエラス・ヴェローナに買取義務付き2年レンタルで加入する。
すると、初年度からカンピオナート・プリマヴェーラ2(ユースリーグ2部)で18試合15ゴールを記録し得点王となる活躍を見せる。 翌年にはプロ契約を締結しセリエAデビュー・初ゴールを記録したばかりか、シーズン終了後の代表ウィークでA代表デビューを果たした。
ちなみに、エラス・ヴェローナの所属選手がアッズーリの一員としてピッチに立ったのは35年ぶりの出来事だったそうだ。
期待値を一気に高めたカンチェリエリは2022年夏にラツィオに引き抜かれたものの22-23はセリエAで先発わずか1試合にとどまるなど苦戦した。今季はレンタルで加入したエンポリで武者修行に励んでいる。
カンチェリエリの最大の武器は快速ドリブルである。
非常に優れたエンジンを搭載しているカンチェリエリは、セリエAでプレーする選手の中でも上位に入るトップスピードを誇る。さらに、加速力に優れ、トップスピードに到達するまでが非常に速い。
↓ 下記ツイートはソース不明であるものの、今季のセリエAにおけるカンチェリエリのトップスピードは時速36.6kmでセリエA5位であるとしている。肌感としては違和感のない数字だ。
Velocità max (km/h), Serie A 23/24:
1. Festy Ebosele 37.80 2. Giuseppe Caso 37.28 3. Pontus Almqvist 37.06 4. Rafa Leão 36.96 5. Matteo Cancellieri 36.60 6. Raoul Bellanova 36.37 7. Armand Laurienté 35.90 8. Nemanja Radonjić 35.87 9. Victor Osimhen 35.78 10. Fikayo Tomori 35.62 https://t.co/e6nDuc0XHx pic.twitter.com/vH54hVyCUD — Francesco (@01fmz) November 1, 2023
このスピードを生かした直線的なドリブルがカンチェリエリの最大の武器である。 カンチェリエリのドリブルはスピードに乗れる場面でこそ相手の脅威となる。つまり、カウンターの場面でこそ輝きを発揮する。
しかしながら、カンチェリエリはスペースがない場面でも果敢に突破を仕掛けていく。ドリブル突破の試行数はチーム内トップの数字だ。
同じく積極的なドリブルが武器のチームメイト、カンビアーギと比較すると、運ぶドリブルに関する数値が小さくなっているカンチェリエリ。これは、普通の選手ならキャリーで運ぶにとどまる場面でも、そのまま対面のディフェンダーに突っかかっていって突破を試みるからだろう。
この強気の仕掛けがカンチェリエリの魅力でもあるわけだが、現状では無謀な突破も数多い。
仕掛けを匂わせながらサイドバックを使ったりクロスボールを上げたりと言ったプレー選択をすることは少ないカンチェリエリ。うまく味方を使えるようになれば、また違った評価を与えられるに違いない。
また、カンチェリエリの突破した後の選択肢はほとんどがシュート。自ら攻撃を完結させることを第一に考えている。しかしながら、シュート精度は要改善だ。ここが上がってくれば得点数ももっと伸びるはずだ。
↓ 良くも悪くもカンチェリエリらしさが出ている場面。
また、カンチェリエリは非保持での貢献度が高い。持ち前の快足を飛ばして果敢にプレスバックし、相手アタッカーに対してタックルを食らわせる。
ミドルサードでのタックル数は、MF陣を抑えて2位にランクインしている。
これを買われて右のウイングバックで起用される場面もあるカンチェリエリだが、ウイングバックとして起用するには簡単に裏を取られすぎる。
ボールウォッチャーになりがちで、背後にいる相手を認知できていない場面が多い。もし本格的にウイングバックにコンバートするには、戦術面をイチから鍛える必要があるだろう。
個人的には、ウイングバックへのコンバートは有効な選択肢だと考えている。 前線ならどこでもやれるカンチェリエリだが、いかんせん一芸屋感が強い。相手に引かれた場面では無謀な突破ばかりが目立つ場面も多く、相手の間を縫って突破するためにはクイックネスやボールタッチの繊細さが不足している。
よりアウトサイドに特化してプレーできるウイングバックでなら、持ち前のスプリント力と守備への献身性を活かせるのではないか。
まだ22歳になったばかりのカンチェリエリ。このまま壁を突き破れずに終わるか、それともどこかでブレイクを果たせるのか注目したい。