
セネガル人の両親の元フランスで生まれたニアングは、16歳にしてカーンでプロデビュー。その2週間後に初ゴールを決め、フランストップリーグで2番目に若い得点者となった。
この活躍を注視していたのがACミランが2012年にニアングを獲得したのだが、わずか13日後にミラノ警察によって無免許運転を摘発されている。これに対し、ニアングは「自分は(チームメイトの)バカイェ・トラオレだ」とウソをつき、のちの事情聴取でそんなことは言っていないと否定するなどさっそく悪童っぷりを見せつけている。
その後もニアングはたびたび自動車関連のトラブルを起こしており、最も調子が良かった15-16もシーズン途中の交通事故による負傷でフイにしている。
そして今冬のエンポリ加入後にも、1か月たたないうちに衝突事故を起こしてしまった。
こうして継続的なキャリアを築けなかったニアングは、今冬のエンポリ加入までで12クラブを渡り歩きながらプレーしてきた流れ者だ。
ニアングは身体能力の高さを武器にブレイクした選手だった。優れたスプリンターであるニアングは、ストライドの長さを活かした取れそうで取れないドリブルで局面を打開するウインガーとしてデビューし、そこから徐々にセンターフォワードへと主戦場を移していった。
数年前のニアングは、高い身体能力を活かし様々なパターンで得点を重ねるストライカーだった。
空中戦を制してのヘディングやくさびを受けてからの振り向きざまのミドル、難しい体勢からのアクロバティックなフィニッシュからカットインシュートまで、実に多彩なフィニッシュを持っていた。
↓ キャリア最多のゴール数を記録した18-19の全ゴール
しかし、年々ニアングの得点パターンは変化している。


なぜこのような変化が生まれたのか。
理由はフィジカル能力の陰りだ。全盛期と比べると明らかに増量したニアングは、持ち前のフィジカルに陰りが見られている。ゆえに、身体能力を駆使した理不尽ゴールから、ゴール前で勝負するワンタッチゴーラーに変貌しつつあるのだ。
もともとニアングはゴール前での動き出しをちゃんとやる選手だった。前方にスペースがあればスプリント勝負で相手DFをぶっちぎってフリーになり、深い位置からの折り返しに対してはタイミングよくストップしてフリーになる。
これを研ぎ澄ます方向に向かった印象だ。賢明な判断だろう。
また、ニアングは優れたPKキッカーでもある。キャリア通算15回のPKを功させているニアング。かつてのバロテッリのように、助走中にいったんストップして相手GKの動きを見ながら流し込むスタイルだ。
今冬にエンポリに加入してからすでに4ゴールを奪っているニアングだが、うち3つはPKで奪ったものだ。
ニアングはフィニッシュ以外での貢献度が低い選手である。
ビルドアップに関与する意識は希薄で、ゴール前でラストパスを待つスタイルをとる。
あまりにもボールが回ってこないときにしびれを切らしてボールを触りに中盤に降りてくることがある。そこから前を向き、ドリブルを仕掛ける。ポストプレータイプを強引に分類すると「フォルス9ポスト」になるだろうか。
また非保持時の貢献度も非常に低いものとなっている。
29歳になったニアングは、これからキャリアの最終局面に向かっていく。セリエA恒例の「プロビンチャを引っ張るベテランストライカー」になれるかどうかは、素行面を含めた彼の行動次第だろう。
最後にもう一花咲かせてほしいものだ。