
ようやくスペツィアに戻った19-20シーズンにスペツィアがクラブ初のセリエA昇格を達成、自身初のセリエAとなった20-21から主力に定着し、キャプテンを任される試合もあるなど充実の日々を送った。22-23にスペツィアが降格するまでともにセリエAで戦い、6ゴール14アシストの活躍を見せている。 そして昨年夏、エンポリに加入。セリエAでのプレー継続を選択している。
なお、バストーニはユース時代からセントラルMFとしてプレーしてきた。プロデビュー後も、しばらくはMFとしてのプレーを継続している。
バストーニが左サイドバックに転向したのは18-19シーズンになってから。レンタル先のノバーラで左サイドバックとしてのプレーを始めている。
スペツィア時代、イタリアーノ政権では左サイドバックでプレーしていたが、イタリアーノの退任後はセントラルMFへとプレー位置を移していったバストーニ。元々のポジションに戻っていくプロセスだったといえる。
なお、エンポリでは再び左サイドバックで起用されていることから、ここではサイドバックとして分析していきたい。
左サイドバックとセントラルMFをハイレベルにこなすシモーネ・バストーニ。彼の武器は、何といっても高精度の左足だ。
この武器は様々な場面で活かされる。 プレースキックは正確で、コーナーキックやフリーキックから多くのチャンスを演出する。 サイドバック起用時には高い位置でボールを持ち、アウトサイドからのクロスボールでチャンスを量産する。正確に味方の頭を捉える軌道は一見の価値ありだ。
↓ 正確なクロスボールによりアシストした場面
MFとして起用された試合では、高い位置でボールを受けてからのラストパスで攻撃の最終局面をデザインする。トップ下的なプレーを見せるのだ。
↓ スルーパスによりアシストした場面
さらに、ミドルシュートもバストーニの武器。遠い位置からでもゴールを射抜ける左足は相手にとって脅威だろう。
↓ 見事なミドルシュート
高精度のキックを武器に、MFでもプレーできる資質を持つ。みんな大好きマエストロ系サイドバックだ。
低い位置で組み立てに絡むよりも高い位置で攻撃の最終局面に絡むプレーを得意とすることから、「クロッサーSB」に分類できるだろう。
また、非保持時の積極性も彼の武器だ。対面のアタッカーに対して距離を縮めながら、可能であればインターセプトを狙う。
それが難しいなら相手にボールが入った瞬間に素早く寄せて、積極的にタックルを仕掛ける。成功率には向上の余地を残すものの、ガツガツと寄せられるだけで相手からすれば嫌なものだろう。
こうしたタイトな守備も彼の特長だ。
筆者が個人的に好きな選手なのでもっと試合に出てほしいと考えているのだが、今季のエンポリではなかなか出番に恵まれないでいる。特にダビデ・ニコラ就任後は出番の減少が顕著だ。
バストーニはフィジカル的な資質に恵まれているわけではない。特に、ロングスプリント能力に関しては低いレベルにある。
ダビデ・ニコラはチームの重心を下げてはっきりとした堅守速攻スタイルを打ち出している。そのため、サイドバックにはカウンターに転じたときに長距離を走って攻撃に厚みをつけることが求められる。
ここはバストーニの苦手項目。それゆえ、最も得意な高い位置でのプレーを出せずにいるのだろう。
ボール保持によってチームをゆっくりと押し上げるようなチームでこそ輝くのがバストーニだ。チーム戦術との相性から出番に苦しんでいるのではないだろうか。 個人的にはビッグクラブで見てみたい選手のひとり。夏の動向に注目したい。