【スウェーデンのハードマーカー】イサク・ヒエンのプレースタイル分析

イサク・ヒエン

スウェーデンのストックホルムで生まれたヒエンは、地元のサッカークラブでサッカーを始め、AIK、ジュルスホルム、ヴァサルンドと3つのクラブのユースを渡り歩いてプロデビューしている。

ユースから通じて21歳まではFWとしてプレーしていたというヒエン。プロ契約後のセンターバックへのコンバートを機にパフォーマンスを上げ、2021年には国内屈指の強豪ユールゴールデンに引き抜かれる。

そして翌年にはセリエAのエラス・ヴェローナに加入しここでも好パフォーマンスを見せると、今冬にアタランタに引き抜かれて現在に至っている。

母親はスウェーデン人、父親はガーナ生まれだがその両親がブルキナファソ人ということで、3ヵ国から代表を選択する必要があったヒエン。特にブルキナファソからは熱心に勧誘されていたようだが、最終的にはスウェーデンを選択している。

 

ヒエンのベースとなっているのは、優れたフィジカル性能だ。191cm・88kgと恵まれた体格でありながら、身のこなしも軽やか。スプリントアジリティといった機動力に関しても、非常にハイレベルである。

この恵まれたフィジカルを活かし、3バックの中央にどっしりと構えて相手のエースストライカーを封殺するのが、ヒエンに求められている唯一にして最大のタスクである。

 

ヒエンは相手の1トップに対してしつこく追いかけまわし、ボールが入ってくれば潰しに入る。

このとき、相手の方が明らかに先にボールに触れるときは無理をせず、相手の出方を見てから対応する余裕を持っているのがヒエンの特長だ。

相手のストライカーにボールが入る場面。ヒエンは少し距離を置き、相手の出方をうかがう。
相手のファーストタッチが大きくなったのを見て素早くボールと相手の間に体を入れてクリーンにマイボールにした。

 

上の場面のような対応がヒエンの典型的な対応。まず相手のファーストタッチを待って、タッチが大きくなった瞬間に体を入れて完全にマイボールにする。あるいは、相手がボールを収めたときには体を寄せて自由を奪う。

相手の出方を見て、その後から対応しても無理が効くフィジカルを後ろ盾にした、余裕ある対応である。

これをフィジカルを武器とする相手に対してもできるのだからすごい。30節ナポリ戦では、セリエA最強のモンスターストライカー、オシメンを完封して見せた。ヒエンのポテンシャルを存分に見せつけた試合だった。

オシメンにボールが入る場面。ヒエンはアーリーコンタクトでオシメンのバランスを崩させている。
後にボールが流れ、競走に。
競り合いながらもしっかりと体を入れ、完全にマイボールとした。

 

昨季までは粗削りな印象も否めなかったが、今季は体を入れて完全にマイボールにする技術を体得したヒエン。アタランタの3バック中央を任されるプレーヤーとしては、歴代で最もクリーンな守備を特長とする選手なのではないだろうか。

FBref.comより抜粋。

上の表の一番左の行は、イエローカード数を示したものである。エラス・ヴェローナ初年度の22-23にはシーズン通して9枚のイエローカードを頂戴したヒエンだが、今季はエラスで1枚、アタランタで1枚の2枚のみしかカードを受けていない。

明らかにラフなプレーが減ったことがデータにも表れている。守備技術の向上は明らかだ。

 

一方、足元のテクニックは現代CBとしては低い部類に入るため、保持時の貢献度は限定的だ。

ロングフィードやドリブルによる運びはほとんど見られず、現在のアタランタではフリーな味方にショートパスを預けるところまでが彼に求められるタスクとなっている。

マトリックス上では、かなり極端な「ハードマーカー」に分類できるだろう。

 

とはいえ、保持時の不足を補って余りあるほどのボール奪取力を備えるヒエン。このプレーを継続していけば、欧州中から注目を集めることは間違いない。

その試金石となるのが、ELのリバプール戦だろう。現在プレミアリーグ首位のチーム相手にどれだけのパフォーマンスを見せてくれるか注目したい。

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