【イタリア最高のスイーパーGK】フアン・ムッソのプレースタイル分析

フアン・ムッソ

イタリア系アルゼンチン人のムッソは、10歳のころサッカーを始めた。それまではバスケットボールをプレーしていたらしい。さらに、14歳でロックバンドを結成しドラマーを務めるなど少年時代に様々な経験を積んだようだ。

16歳で地元のチャンピオンシップで優勝し、決勝戦のPKで5本中3本をセーブしたことで注目されたムッソは、名門ラシン・クラブへ加入。

プロデビュー翌年にはスタメンに定着、ラウタロ・マルティネスとともにチームを支えた。

そして2018年夏、ウディネーゼに加入しすぐさまスタメンになると、3シーズンにわたってゴールマウスを守った。

この間アルゼンチン代表デビューを果たし、コパ・アメリカ2021の優勝メンバーにも名を連ねている。

そして2021年、アタランタに加入しすぐに守護神として君臨した。しかしながら、今季はカルネセッキにポジションを奪われている。

 

ムッソは非常にアグレッシブなGKである。

クロスボールに対して積極的に飛び出してパンチングではじき出し、最終ライン裏に落ちてきたボールに対してはペナルティエリア外に飛び出してクリアする。

クロスボール処理率ではセリエA2位90分あたりペナルティエリア外でのプレー数はセリエAトップと、スタッツも彼のアグレッシブさを裏付ける。シュートを打たれる以前のところでゴールを守ろうとする意識が非常に強いGKだと評価できるだろう。

 

肝心のセービングに関しても能力値は高い。

彼のプレーの基礎となっているのは、構えた時の姿勢の良さだ。しっかりと上半身を立てたまま相手のシュートを待って、反応してセーブしていく。

しっかりと低く構えられているため、足元のシュートに対して強いのはムッソの強みだ。低弾道のシュートに対しても、軽い身のこなしで横に倒れながら腕ではじき出す。

また、セーブした後の体勢がいいので、一度弾いた後にすぐに体勢を立て直せるため、セカンドセーブにも対応可能だ。最初のセービングのこぼれ球を詰められたときにももう一度反応できるのだ。これは彼の大きな武器である。

 

↓ 彼の良さがよく出たシーン

 

また、姿勢の良さを1対1の場面でもしっかり維持できるのも彼の良さだ。

至近距離からシュートを打たれるとき、ビビッて後ろに倒れてしまう選手はプロであっても多いものだ。しかし、ムッソは必ずボールホルダーに大してず体を垂直に起こしたままで飛び込んでいく。この勇気はみんなが持っているものではない。

上半身を起こし、腕はリラックスさせたまま足をたたんで足元を通されないようにするのがムッソのブロックの特長。腕を広げる選手が多い中で腕を伸ばしきらないのは、シュートに反応する余地を残すためだろう。

実際、ブロッキングの体勢に入ったあとから上半身のみで反応してセーブした場面もみられる。彼のブロッキングはハイレベルだと評価していいだろう。

 

ただし、ムッソには明確な弱点もある。それが、細かいポジショニングの修正を怠りがちなことだ。

いいGkは、ボールや相手、味方の細かい場所の動きに合わせて立ち位置を微調整してシュートに備えるものだ。ムッソはこの微調整があまりできていないがために失点してしまう場面も多いのだ。

ラウタロが得点を決めたシーン。
ラウタロはひとつ内側に持ち出してシュートコースを作り出した。ムッソはこれに反応できておらず、そのままステイの選択している。DFがシュートコースを切ってくれているためニアにシュートが飛んでくる可能性は低い。このポジショニングだとニアに寄りすぎだ。
あと一歩ステップを踏めていれば、ギリギリ触れたかもしれない。

クロスボールが横に流れていく場面もしかりで、ムッソは横にボールが動いた時のポジショニングの修正に弱みを抱える。ここが改善されれば、さらに失点数を抑えられるように見えるところだ。

 

ビルドアップに関しては、プレス耐性の高さが際立つ。相手がプレスに出てきても全くあわてることがなく、冷静に味方につなぐことができる。

かなりの勢いでプレスをかけられた場面。
ムッソはまったくあわてることなくサイドにボールを逃がした。

レジスタとしてビルドアップの中心を担うほどの戦術眼は備えていないものの、ビルドアップに参加しボールの逃げどころになるところまではハイレベルにこなすことができるだろう。

 

現在はポジションを失ってしまっているムッソだが、実力者であることは間違いない。クラブが変われば、まだまだ正守護神を任せられる器だろう。

カルネセッキとのポジション争いに負けてアタランタでのサイクルは終わった感がある。シーズン終了後には新天地を求めることになるのではないだろうか。オフ・シーズンにも注目の選手である。

コメントを残す