2007年と2009年の2度走り高跳びの世界チャンピオンに輝いたブランカ・ヴラシッチを姉に持つニコラ・ヴラシッチ。今季からトリノのナンバー10を背負っている。
システム変更によって最も得意なトップ下のポジションが消滅した影響で昨季から比べて出場機会を減らしているが(18節終了時点で先発は6試合にとどまる)、限られた時間ですでに1ゴール3アシストと結果を残しているのはさすがの一言だ。
178cm・72kgとずんぐりとした体格のヴラシッチ。見た目にはパワー系でいかにもゴリゴリと仕掛けていきそうな見た目をしている。
実際、彼がパワフルなシューターであることは間違いない。ひとたび右足を振れば、強烈なシュートでゴールの四隅を射抜く。多少ゴールから距離があっても相手の脅威となるミドルシューターだ。
非利き足の左足でも変わらない質のキックが蹴れるのも魅力的。相手が右足を切ってくれば、迷わず左に持ち出して振り抜ける。
🇭🇷 Nikola Vlašić BOOM 🚀 pic.twitter.com/XbPJr6DBWq
— Lega Serie A (@SerieA_EN) July 16, 2023
フィニッシュの場面ではその秘めたるパワーを開放するヴラシッチだけど、実はそこが本質ではない。
彼の基本的なプレースタイルはテクニカルなチャンスメーカーでありラストパサーだ。
無駄にボールをこねることなく、フリーな味方を見つければすぐさまパスを供給してチャンスを逃さない。そのベースにあるのはフリーな味方を見逃さない視野の広さと、常にパスを出せる位置にボールを置く繊細なタッチだ。
シンプルかつ繊細なプレーで狭いスペースを苦にしない。決してフィジカル任せにパワーでねじ伏せることはなくて、むしろその逆。確かな技術によってライン間で輝くタイプのテクニカルなプレーヤー、というのがヴラシッチなのである。このギャップが面白い。
↓ この場面のように、少ないタッチでシンプルなパスをつなぐので目立たないことが多いヴラシッチ。シンプルなパスを積み上げた結果としてアシストが重なっていく、そんなプレーヤーだ。
パスで攻撃を作るチャンスメーカーで、時折見せる強烈なミドルとのニ本柱というアタッカー、ヴラシッチ。今季はインサイドハーフで起用されていることからMF枠で考えるか迷わしいところだったが、本来的には2列目のアタッカーなのでWGとして分類してみたい。
ウインガーとしてはかなりインサイドでのプレーに特化していてプレースタイルはややチャンスメーカー寄り。WG分類マトリックス上にプロットすると「トップ下型WG」に分類されるプレーヤーだろう。
得意なポジションにおいてやれば10GAは計算できる優秀なアタッカーだと思う。それだけに、今季インサイドハーフで起用されているのを見ると持ち味が制限されている印象を受けてしまう。それでも数字を残しているところはさすがだが。
クロアチア代表に定着していることからも、「プロビンチャの注目株」として取り上げるにふさわしいタレントだろう。