ニコラ・ザレフスキ【セリエA選手詳解】

ニコラ・ザレフスキとは何者か

来歴

  • 生まれも育ちもイタリアのザレフスキ。6歳でサッカーを始め、9歳でローマのプリマヴェーラに加入。以後10年間に渡ってローマの下部組織でプレーし、EL準決勝マンチェスター・ユナイテッド戦でプロデビューを果たした。
  • その後もローマでプレーしていたが、なかなかスタメン定着に至らず。2025年2月にインテルにレンタル移籍しハーフシーズン活躍すると、6月にはインテルに買い取られてローマを去ることとなった。
  • しかし、それから2ヶ月も経たないうちにアタランタがザレフスキを獲得。完全移籍後はインテルでプレーすることなく退団した。

 

 

エピソード

  • 母国の共産主義に反対するポーランド人両親の元イタリアで生まれ育ったザレフスキ。イタリア国籍も保有していたが、代表チームはユース年代から継続してポーランドを選択している。
  • これは、父クリストフの影響が大きいという。イタリアに愛着を持っていたクリストフはしかし、「私の血はポーランドの血だ。君たちもポーランド人だ」とニコラと妹に語っていたという。そのクリストフは、ニコラがA代表デビューを果たした数日後に癌で亡くなった。
  • その当時監督だったモウリーニョには、「サッカー以外のことも含めてとても助けてもらった。」ユース時代は背番号10を背負い攻撃的MFとしてプレーしていたザレフスキをウイングバックにコンバートしたのはモウリーニョである。
  • プロデビュー時つけていた背番号59を着用し続けているザレフスキ。インテルでもアタランタでも59を選択している。
  • 幼い頃から憧れていたのはトッティとクリスティアーノ・ロナウド。

 

 

プレースタイル分析

攻撃的な選手をサイドバックにコンバートする潮流が生まれてきたのは、10年前くらいだったと思う。現在ではよりCBが多い3バックの流行によってWBには攻撃的な選手を置くケースが多くみられるようになっている。

ザレフスキも、そんな潮流の中に身を置くひとりだ。

ユース時代には背番号10を背負ってトップ下やってたザレフスキ。そんな彼をWBにコンバートしたのはスペシャル・ワンことモウリーニョだった。

それ以降、プロキャリアでのメインポジションは左WBになっている。

 

なぜこのポジションにザレフスキがハマったのか。

一番大きかったのは縦への推進力の高さだろう。爆発的なスプリントとそれを90分間継続する優れたスタミナを持つザレフスキは、ピッチの縦幅をひとりでカバーしなければならないWBに求められる必須条件を満たしていた。

加えてボールスキルにも優れているため、ドリブルで一気に長い距離を運ぶことができる。

 

〈FBref.comより、3節終了時点でのスタッツ〉

  • 縦方向のキャリー総数:10(セリエA10位

 

 

彼は運ぶ局面だけでなく、崩す局面でも威力を発揮するドリブラーだ。

一瞬でトップスピードに乗れるため、縦に持ち出しダッシュするだけで相手よりも前に出てしまう。

アタランタ加入後に左足から放るクロスボールの精度がどんどん向上している感があり、単純に縦突破からクロスを上げても相手の脅威となっている。

 

ただ、それ以上に際立つのは切り返してからの右足クロスの精度の高さ。味方の頭を正確にとらえ、決定機を演出しまくっている。

 

↓ 2本連続で切り返してからの右足クロスで決定機演出。

 

〈FBref.comより、第3節終了時点でのスタッツ〉

  • クロス総数:22(セリエA5位
  • アシスト期待値:0.9(セリエA3位

 

縦突破からのクロスの脅威が高まっているからこそ、より最も得意な右足クロスが止めずらくなっている印象。

データによる裏付けも相まって、今やリーグ屈指のチャンスメーカーと言っても過言ではないはずだ。

 

ただ一方で、非保持面では課題が山積である。

よくある言説でWBはSBと比べて守備の負担が小さいというものがあるけれど、アタランタのようにマンツーマン色が強いチームであればあるほど、1人が対人で負けたときに受ける被害は大きくなっていく。

対面の相手に負けないことがマンツーマンを機能させる前提条件となっているからだ。

 

そういう視点でザレフスキを見てみると、さすがに守備面で不安が強すぎる。

不用意に足を出して縦に突破されたり、相手と距離を執ってはいけない場面で簡単にマークを離してしまったり…とかなり悪目立ちする。

先日のチャンピオンズリーグ開幕戦にて、ユリッチ監督がザレフスキではなくユース所属のベルナスコーニを左WBで起用したのも、PSGの強力なアタッカーとの対面を考えたときにザレフスキがあまりにも頼りなかったからなのではないだろうか。

 

↓ この場面。軽く足を出してかわされ、失点の原因となった。あまりにも簡単に突破されすぎである。

 

↓ この場面もそう。アタランタの原則的に考えれば、ザレフスキがついていってスライディングでシュートブロックまで完遂しなければならないはず。さすがに簡単にマークを外しすぎだ。

 

というわけで、DFというにはあまりにもお粗末な守備力のザレフスキは、WGとしてマトリックス上に落とし込んでみたい。

スピードもクイックネスも兼ね備えていて、バランスの取れたドリブラー・クロッサーだといえる。

リーグ屈指のチャンスメイク力と、リーグ屈指の軽い守備という諸刃の剣。アタランタというチームにあっては余計にそうだ。

彼をいかに使いこなすかはユリッチの腕の見せ所になりそうだ。

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