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レオナルド・スピナッツォーラ【プレースタイル詳解】

レオナルド・スピナッツォーラとは何者か?
来歴
- ヴィルトゥス・フォリーニョというクラブで6歳でサッカーを始めたスピナッツォーラは、14歳でシエナのユースに移籍。3年後にはユベントスのユースに加入、2012年のヴィアレッジョ・トーナメントで優勝し大会最優秀選手に選出されるなど期待の若手として注目された。
- 2012年、エンポリにレンタルされセリエBでプロレビューを果たした。その後は7回レンタルに出され、セリエAとセリエBを往復しながら長い下積みに励んだ。
- 彼がブレイクを果たしたのは7つ目のレンタル先(14-15にレンタルされて以来2回目)であるアタランタ。ジャン・ピエロ・ガスペリーニに継続的に起用されて16-17のクラブ史上最高位である4位フィニッシュに貢献したのだ。しかし、翌17-18に前十字靭帯の損傷を負い、不完全燃焼のままアタランタを退団した。
- 1年間ユベントスですごしたのち、19-20にローマに完全移籍すると、特にパウロ・フォンセカ体制で不動の存在となり、リーグ屈指の左サイドバック/ウイングバックとしての地位を不動のものとし、2020EUROではアッズーリの一員として大会ベスト11に選出される活躍を見せ、ヨーロッパ制覇に大きく貢献した。
- しかし、そのEURO2020準々決勝でアキレス腱断裂の大ケガを負い、10か月間プレーできない事態に。復帰後もトップフォームを取り戻せないまま23-24終了後にフリーでローマを退団する運びとなった。
- 2024年7月にフリーでナポリに加入。初年度は思うようにプレーできなかったものの、加入2季目となる今季は不動の存在になりつつある。
エピソード
- 14歳でシエナユースにいた時、ホームシックを起こしたスピナッツォーラ。両親に電話してもう地元に帰りたいと告げると、母親からサッカー選手になるチャンスをつかむよう説得されて踏ん張ったそう。「母の力がなければ、私はサッカー選手になっていなかった」と語る。
- 元々はウインガーだったが15-16にレンタルされたペルージャにてサイドバックに転向したスピナッツォーラ。同じ経歴を歩んだザンブロッタをアイドルとして挙げている。
- 子どもを愛するよきパパで、トレーニングのスケジュールで不都合がない限り、学校への送り迎えは奥さんではなく自分がしているという。「私の一日は子どもとサッカーだ」と語る。
- EURO2020でのアキレス腱断裂を受けて精神的にかなり参ってしまっていたようだが、妻と今でもフォローしてくれている心理学者の助けを借りて乗り越えている。
- 実は2020年1月、スピナッツォーラはインテル加入が近づいていた。当時インテルに所属していたマッテオ・ポリターノとのトレードは成立間近で、メディカルチェックまでいったもののスピナッツォーラの健康状態を理由に契約は白紙に。その後スピナッツォーラはブレイクし、EURO2020で欧州屈指のSBとしての評価を確立し、そして大ケガを負うことになる…。
プレースタイル分析
EURO2020にて、イタリア代表は欧州制覇を成し遂げた。まるでクラブチームかと思うような組織的な攻撃サッカーで、見ていて楽しいチームであった。
そんなイタリア代表で欠かせない存在だったのがスピナッツォーラだった。インシーニェとのコンビは強力で、左サイドはアッズーリの攻撃の中核を担っていた。
スピナッツォーラはそのEURO2020準々決勝でアキレス腱断裂の重傷を負って長期離脱、その後もフォームを取り戻せずにいたのだが、今季ついに本来の輝きを取り戻しつつある。
スピナッツォーラの武器は、優れた攻撃性能にある。
特に目を引くのはドリブルだ。彼はサイドバックとしては異質なまでのドリブラーである。ソースは不明だが、欧州7大リーグのサイドバックで最もドリブル成功を記録しているという投稿が流れてきていた。
ちゃんとしたスタッツもこれを支えていて、FBref.comによれば5大リーグのサイドバックと比較したパーセンタイルではプログレッシブキャリーが99のカンスト値、ドリブル突破成功数が91という高数値である。

FBref.comより。4.55、1.36はそれぞれ90分あたりの数値だ。 彼の優れたドリブルを支えているのは、爆発的なショートスプリントである。瞬間加速がすさまじく、よーいドンで走り始めればほぼ全勝してしまえる。
これを活かし、スピナッツォーラは緩急を活かしたドリブルで仕掛ける。いったんボールを止めて相手の足を止めたうえで縦に持ち出し、一気に抜け出す。ここに切り返しを織り交ぜられると、もう相手からすればどうしようもないだろう。
さらに厄介なのは、彼が右利きの左サイドバックであるという事だ。
縦勝負が最も得意な形でありながら、切り返して内を向けば利き足を突き付けられる。
内を向いてからのクロスボールの精度はどんどん向上してきている印象で、こうなると相手からすれば止めるのは容易ではない。
さらに、クロスだけでなく内に進路を取って切り込み、フィニッシュというウインガーのようなタスクまでこなせる。ピサ戦では貴重な勝ち越し弾をもたらしていた。
このように、サイドバックでありながら実質的にウインガーとして機能できるという稀有な存在がスピナッツォーラである。
アウトサイドで足元にボールを引き出してからの仕掛けでチャンスメイクし、機を見て内にも切り込める。完全に担っているタスクはウイングのそれだ。
こうした特徴を持つスピナッツォーラが、今季のナポリで輝きを取り戻したのは偶然ではない。コンテが採用した戦術が、スピナッツォーラの存在を強く求めたのだ。
デブライネという新たな核となり得るスターの加入を受け、昨季スクデットを獲得しながらそのバランスをイチから見直す必要に迫られているナポリ。
特に、昨季スクデット獲得の原動力となったロボツカ、アンギサ、マクトミネイの中盤トライアングルと共存する形でデブライネを加えることは簡単な話ではない。
コンテが出した答えは、マクトミネイの「偽ウイング」起用だった。
4-3-3の左ウイングにマクトミネイを起用しながら、実質的なタスクとしては中盤のそれを任せ、デブライネとの共存を目指したのである。
左ウイングに置かれたマクトミネイが中盤に入っていくため、左の幅とり役は左サイドバックになる。
開幕当初、コンテはマティアス・オリベラを試していた。しかし、オリベラはアウトサイドを占有するウインガーのサポート役として輝くタイプであり、外で基準点となる選手がいない中では個人で解決する力の欠如がモロに出てしまう形になってしまった。その結果、ナポリの攻撃は右一辺倒になってしまっていたのである。
ここに登場したのが、ウインガータスクの名人スピナッツォーラであった。
彼が外で仕掛けを担い、マクトミネイを開放することで今季のナポリは完成に至る。スピナッツォーラは完全にマスターピースとなっている。

SofaScoreより、ナポリのインテル戦における平均ポジション。37のスピナッツォーラは、逆サイドの21ポリターノとほぼ同じ高さをとっており、彼がウイングタスクを担っていることがよくわかるだろう。8のマクトミネイは中盤の一角を占める形となっている。これが今季のナポリの形であり、その完成にスピナッツォーラは欠かすことができない。 スピナッツォーラが最も得意とするタスクをチームが求めてきた。それにきっちり答え続けることでスピナッツォーラ自身が全盛期の輝きを取り戻す。
戦術と選手は不可分であるわけだが、こうもキレイにハマるものかという例である。スピナッツォーラはアキレス腱断裂以来のアッズーリ復帰を果たし、一時右サイド一辺倒だったナポリは逆に左サイド、スピナッツォーラが崩しの中核として機能しより止められないチームとなりつつある。まさにWin-Winである。
こうしたウイングタスクを中心に担いながらも、後方からのパス出しが向上しているのは面白い現象だ。
これはあくまでも筆者の妄想だけど、フォームが上がらなかった時期に個人での突破力が下がったことを受けて、スピナッツォーラは周囲を活かそうとして視野の広さを手に入れたのではないか。
今季セリエAですでに2アシストを記録しているスピナッツォーラだが、それはいずれも後方からのスルーパスによってである。
スピナッツォーラはよりプレーの選択肢が広い、完成されたサイドバックに変貌しつつあるのだ。
Il primo gol di Højlund in maglia @sscnapoli ⚡️#FiorentinaNapoli pic.twitter.com/I36M6lzIRD
— Lega Serie A (@SerieA) September 14, 2025
Scott McTominay. 🚀#NapoliInter | @sscnapoli pic.twitter.com/xCffK4ZyED
— Lega Serie A (@SerieA) October 26, 2025
というわけで、スピナッツォーラはサイドバック分類マトリックス上では「ドリブラーSB」に位置づけられる。このタイプの第一人者と言って差し支えないだろう。

ユベントス時代、9つのクラブで武者修行に励むという長い下積みを経てローマでブレイク、EURO2020でヨーロッパ屈指の攻撃的SBという評価を確立しかけたところでアキレス腱断裂の大ケガを負い、復帰後は全盛期の輝きを取り戻せない…なかなか実力に見合った評価を得られず苦しんだスピナッツォーラだが、今ようやく大輪の花を咲かせようとしている。
今季ナポリにスクデットをもたらし、再び世界に名をとどろかせられるか。いまこそ、スピナッツォーラに注目だ。
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リッカルド・オルソリーニ【セリエA選手詳解】

リッカルド・オルソリーニとは何者か
来歴
- 7歳でアスコリのユースチームに加入したオルソリーニは、そのままカテゴリーを上げていき、18歳のときにセリエBでデビューを果たした。
- 16-17セリエBで8ゴール6アシストと活躍したオルソリーニ。ユベントスが彼を獲得し、すぐさまアタランタにレンタルで放出したが、なかなか出番に恵まれず、わずか半年でレンタル先をボローニャに変更することとなった。
- これ以降はボローニャ一筋。22-23から3シーズン連続2桁得点中で、リーグを代表するアタッカーに成長したと言っていい。昨季は15ゴール5アシストで、キャリアハイの数値を残すなど全盛期を謳歌している。
エピソード
- 友達とビーチサッカーでバイシクルキックの練習をしていたところをアスコリのスカウトに発見され、入団依頼を父が快諾したことで8歳でアスコリユースに入団したオルソリーニ。サッカーを始めた当初はストライカーとしてプレーしていたという。
- 毎日50〜60km先のアスコリまで通ってプレーしたオルソリーニ。送迎してくれた父に感謝していると話す。
- サッカーボールで地元ロテッラのあらゆるものを壊したという。花瓶、ベンチ、シャッター、選挙ポスター、ショーウィンドウ…パワフルさは幼少期からのようだ。
- 愛称は「Olsonaldo」。フリーキックの際、両足を広げる構えがクリスティアーノ・ロナウドを想起させることからついた。
- 滅多に外出しないそうで、週に1、2回親しい友人やチームメイトと外食する程度。家にいてリラックスするのが好きだそう。
- 一方で新しい場所を散策するのは好きだそうで、イタリア代表の一員としてチームメイトがニューヨークでイタリア料理を食べに出る中、ひとりでマンハッタンを散策したという。
- 近年進境著しいボローニャについて、その強さの秘訣を「団結力、コンパクトネス、そして(いい意味で)サッカーを軽く捉えていること」と語る。
プレースタイル分析
そのリーグを見ている人なら絶対知ってるけど、そのリーグを見ない人にはよく知られていない、場合によっては名前も知られていない。そんな中堅クラブの名物選手っているよね。
セリエAにおいては、オルソリーニとかこういう選手としていい線いってるんじゃないだろうか(いまやボローニャが中堅クラブかどうかの議論はさておき)。
セリエAを見ている人はみんな知っている。オルソリーニはリーグを代表するアタッカーのひとりであると。
22-23から3シーズン連続2桁得点中で、昨季は公式戦通算17ゴールとキャリアハイを更新。25-26も7節終了時点ですでに5ゴールで得点ランクトップ。ウインガーとしての得点能力はリーグ随一である。
オルソリーニの武器は何といっても左足から放つロケットシュート。ずんぐりとした体格から見るからにパワー系だが、その見た目通り強烈なシュートで四隅を射抜く。
精度も十二分で、シュートを打たれるだけで怖い選手である。
この左足を最大限生かすべく、オルソリーニは右サイドで起用される。
カットインしながらゴールを強襲するのが彼の最も得意とする形。またぎフェイントやボディフェイクを入れながら相手の足を止め、シュートコースを作り出してからフィニッシュに持っていく一連の流れはセリエクラスタにはおなじみの光景である。
さらに、オルソリーニはカットインを見せながらの縦突破にも磨きをかけている。
強烈なキックを蹴れるのは右足も同じで、ペナルティエリア内で受ければそのまま右足でフィニッシュに持っていく場面も見受けられる。
この択があるからこそ、カットインもより生きてくる。
Orsolini with a rocket to open the scores against Cagliari 🎯#CagliariBologna pic.twitter.com/QeXHMZAjkj
— Lega Serie A (@SerieA_EN) October 30, 2024
このように、カットインからのフィニッシュで相手の脅威となるオルソリーニ。だが、それ一本だけでこんなに得点を量産できるわけではない。
オルソリーニは大外で足元にボールを引き出すことだけにこだわっているわけではない。むしろ、ハーフスペースに侵入してきて、そこから相手CB裏のスペースをダイアゴナルにアタックしたり、対面のSBの死角から逆サイドからのクロスに合わせたりと言ったラストパスの受け手としても極めて質の高いアタッカーなのである。
ここは見逃されがちだけど、オルソリーニを理解する上で欠かせない部分だろう。

こちら、オルソリーニの得点に関してシュートを打った位置をピッチ上にプロットし、期待値の大きさを円で表したもの。ゴールエリア内から放った期待値の大きいシュートが多いことがわかる。このエリアでフリーになってシュートを打っていることの証拠だ。 A delightful Orsolini dink 😮💨#WeAreOne pic.twitter.com/DDFyUqdgDA
— Bologna FC 1909 (@BolognaFC1909en) March 19, 2025
Riccardo Orsolini ending his season in superb style 👏#BolognaGenoa pic.twitter.com/A1BdXyjoUI
— Lega Serie A (@SerieA_EN) May 26, 2025
Take a bow, Riccardo Orsolini! 🙇#VeneziaBologna pic.twitter.com/lbcC47j8zf
— Lega Serie A (@SerieA_EN) March 30, 2025
ガッチリとした体格のオルソリーニは、相手を背負ってのポストプレーで起点づくりにも大きな貢献を果たしてくれる。
SBからの縦パスがメインの進軍ルートになっているボローニャにあって、彼のポストマンとしての能力の高さは重宝しまくっている。
下の動画では、オルソリーニのポストプレーが起点となって得点が生まれている。こういう雑なボールを背負ってなおかつ反転してしまえるパワーは彼の大きな武器だ。
一方で彼の苦手項目についても触れておこう。引いた相手ブロックを切り崩すような細かいタッチのドリブル、大外からの高精度クロスと言ったプレーは得意とはしていない。そのため、引いた相手を前にすると存在感が希薄になり勝ち。今季も3節ミラン戦ではまんまとアッレグリの罠にはまった。
オープンなスペースで前を向き、ゴールに対して仕掛けたときに最大の脅威となるのがオルソリーニ。縦に速い攻撃を志向し、前線のアタッカーにスペースが提供されやすいイタリアーノ政権になってから得点を量産しているのは決して偶然ではない。
チャンスメーカーとしては際立ったレベルにはなく、極めてフィニッシャー色が強いのが彼の特長。WG分類マトリックス上でも、かなりフィニッシャーに寄った位置にプロットしておきたい。

チーム戦術との相性の良さも手伝って今やリーグを代表するアタッカーに成熟したオルソリーニ。ボローニャが上位陣を脅かす存在に成長するのと同じくして成長曲線を描いてきた、クラブの象徴であるといえる。
今がまさにキャリアの絶頂期。クラブをさらなる高みに導き、アッズーリでの存在感も高めていってもらいたいものだ。
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エリア・カプリーレ【セリエA選手詳解】

エリア・カプリーレとは何者か
来歴
- 地元のサッカースクールでプレーし始めたカプリーレは、2009年にキエーボ・ヴェローナのユースチームに加入し11年間プレー。しかしながら、トップチームでのデビューは果たせないまま退団することになった。
- 環境を変えるため、カプリーレはイングランド2部のリーズ・ユナイテッドに移籍。ビエルサから何度もトップチームに召集されたもののなかなか試合には絡めず、U-23チームを主戦場に戦った。
- その後、21-22にはセリエCのプロパトリアにレンタルされ3部でプロ初出場を飾った。翌22-23にはセリエBのバーリでプレー、シーズン終了後にナポリに買い取られた。
- しかし、ナポリではなかなか試合に絡めず。23-24にはエンポリにレンタルされ、2025冬にはカリアリにレンタル移籍。ここでの活躍が認められ、2025夏にカリアリに完全移籍して現在に至っている。
エピソード
- 少年時代からGKが大好きだったというカプリーレ。コーチにフィールドプレーヤーとしてプレーするよう求められると、泣いて嫌がったという。
- そのきっかけになったのは、人生で最初に買ってもらったユニフォーム。イタリア代表のブッフォンのユニフォームそれだ。本人曰く、「その金色のシャツのおかげで、このポジションに恋に落ちた」。
- 過去のインタビューで「日本に対して大きな情熱を持っている」と日本文化に惹かれていることを認めている。ドラゴンボールが大好きだそうだが、そうしたアニメ文化だけでなく、東洋哲学をはじめとした日本人の精神性にまで興味を持っているそうだ。
- ピッチ外では様々なポッドキャストを聴いて過ごしていると言い、未解決事件のドキュメンタリーや成功者へのインタビューなど、その興味は多岐にわたっているようだ。
- サッカー以外ではバスケットボール、特にNBAをよく観戦するという。
- 兄のヤコポはフロリダの大学に在籍しており、大学のチームでDFとしてプレーしながら代理人になることを目指しているという。将来名前を聞くかも!?
プレースタイル分析
以前、プレミアリーグファンの方が「GKはセリエAから買っとけば外れない」とツイートしているのが流れてきた。
言い方がいかにもプレミアリーグファンやなぁ…と思いつつ、セリエAのGKのレベルが非常に高いことには首がもげるほど頷きたい。見てないから他のリーグはよくわからんけど。
そんなセリエAのGKの中でも際立った活躍を見せているのがエリア・カプリーレである。
その衝撃度は、エンポリでブレイクしたときのヴィカーリオを思い出すレベル。プロビンチャでプレーするGKの中では頭一つ抜けた存在と言っていいだろう。
FBref.comのデータを見てみよう。
エンポリ時代の23-24のセーブ率は78.3%でセリエA4位、欧州5大リーグ6位という高数値。今季もこれとそん色ない76.9%という高いセーブ率を記録している。
PSxG-GA(失点期待値-実失点。平均的にしているであろう失点数からどれだけ実失点が少ないかを表している。数字が大きいほどすごい。)というスタッツでは2.0でセリエA5位。6試合で2失点を防いでいるという事を意味している。すごい(小並感)。
下にウディネーゼ戦のセーブ集を貼っつけておこう。この試合だけでも2点分くらい防いでいる気がする。
Super Caprile in #UdineseCagliari 🦸♂️ pic.twitter.com/4JVjjaLAAp
— Lega Serie A (@SerieA) October 6, 2025
カプリーレのセービングを支えているのは驚異的な反射神経だ。
至近距離からのシュートに対しても反応できるということ。そこに自信があるからこそ、カプリーレはヤマを張って先に倒れるという事をせず、常に飛んできたシュートを見て対応する。これ、いいGKの必須条件である。
もちろん反応できるだけでもすごいのだが、反応してボールに触る、触って防ぎきるためには並外れた敏捷性も求められる。
カプリーレはとにかく腕も足も動きが速くて、即座にシュートコースを読み切ったうえで、そこに適切に腕を伸ばして防ぐ。
さらに、防いだ後に体勢を立て直しての連続セーブもお手の物。下のパルマ戦で見せた連続セーブは驚異的だった。彼の身のこなしの軽さを証明する場面だ。
ここまでの動画にも出ている通り、カプリーレは足元のシュートに対して滅法強い。
素早く足を抜いて倒れ込み、腕を伸ばしてセーブする。いわゆるコラプシングの完成度が抜群だ。
それでも間に合わないときには足を使ったセーブに切り替える判断も◎。自分の能力を完璧に把握しているからこそできる芸当だろう。
下に24-25のスーパーセーブ集を貼っておくのだが、ほとんどが足元に飛んできたシュートのセーブなので見てみてほしい。
さらに、アグレッシブなクロス対応もカプリーレの持ち味である。
再びFBref.comよりデータを拝借すると、クロスストップ数というスタッツでカプリーレはセリエAトップの数字をたたき出している。
ちなみに、カプリーレのクロスストップ総数は17(6節終了時点)となっている一方、2位は同8でダブルスコアをつけての圧倒的トップとなっている。

身のこなしが軽く、可動範囲が広いことがこの数字を支えている。
相手がロングスローを投げようとしているときのカプリーレのポジショニングを見てみてほしい。ゴールから大きく離れ、スロワーがターゲットにしようとしている相手の長身選手をカプリーレがマークするかのようにポジションしているのが見られるだろう。
それだけクロス対応自信ニキなのである。
一方、ビルドアップでの貢献度がそこまで高くないことには言及しておきたい。
エンポリ時代から通じて、カプリーレは相手からプレッシャーをかけられたら長いボールで逃げるという選択をしてきている。
FBref.comによれば、ゴールキック以外のキックに関してのロングフィード率は45.5%でセリエAで5番目の高さだそうだ。今季も長いボールで逃げる傾向は変わらない。
ショートパスによって相手のプレスを打開したり、ビルドアップに参加してフィールドプレーヤーのようにふるまったり…といったプレーを望めるタレントでは、現状ない。というのがカプリーレへの評価となるだろう。
ただ、ここは後発的に伸びる要素である。大きな伸びしろととらえてもいいかもしれない。
いずれにせよ、ビッグクラブ移籍が叶った際には、向き合わなければならない課題として立ちはだかるだろう。
というわけで、カプリーレをGK分類マトリックス上に位置づけるとすればこんな感じになるだろう。

すでにインテルがゾマーの後継者候補として動向を追っているとされるカプリーレ。シーズン終了後にはステップアップ移籍が既定路線とみられる。
昨季所属したナポリではメレトの壁に阻まれてしまったが、実力的にはイタリア代表に召集されておかしくないところまで来ていると思う。
好調カリアリの躍進の立役者としても要注目だ。
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チェザーレ・カサデイ【セリエA選手詳解】

チェザーレ・カサデイとは何者か
来歴
- チェルビアというクラブでサッカーをはじめ、チェゼーナのユースでプレーしていたカサデイは、クラブの破産を受けて15歳でインテルプリマヴェーラに加入した。
- 21-22シーズンにはカンピオナート・プリマヴェーラで優勝。インテルの未来を担う選手として注目を受けたものの、トップチームでのプレーがないままイングランド移籍を決断。チェルシーに移籍し、すぐさまレディング、レスターの2クラブで英2部で武者修行を行った。
- 2024冬、ポチェッティーノ監督によってチェルシーに呼び戻されプレミアリーグデビューを果たしたものの、なかなか出場機会を掴めず2025冬にトリノに加入。今季で在籍2シーズン目となっている。
エピソード
- 子どもの頃のアイドルはカカーだったそうで、もともとはミラニスタだったという。トリノでの背番号22も、カカーがミラン時代に背負っていたことから選択している。
- 現役選手の中ではレアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデを参考にしているという。
- イングランドとイタリアの比較を聞かれると、「90分歌い続けるウルトラスが大好き。イングランドではサポーターは歌い続けないので、スタジアムの雰囲気が違うね。個人的にはイタリアの方が好きかな。」
- 2023年に参加したU-20ワールドカップでは、大会得点王に輝く大活躍。チームとしても準優勝を果たした。
- 2025年3月シリーズでアッズーリに初招集されたものの、まだ出場は果たしていない。
プレースタイル分析
ここ数年、セリエAからビッグクラブを経ずにプレミアリーグへ直接移籍する若手選手が多くなっている。チェザーレ・カサデイは、その先駆けと言える存在かもしれない。
インテルプリマヴェーラで主力として活躍しながら、トップチームでのプレーではなくチェルシーへの移籍を選んだ。
若手に出場機会が回ってくることが少ないセリエAのビッグクラブでプレーすることと、出番を得ながら継続的にプレーでき、活躍できなければイタリアに帰ってくるという保険もある国外移籍とを比較すると、後者を選択をする選手がこれから増えてくるかもしれない。
さて、カサデイに話を戻そう。
カサデイは非常に得点力が高いMFである。
21-22のカンピオナート・プリマヴェーラでインテルプリマは優勝しているのだが、この時のチーム得点王がこのカサデイ。シーズン14ゴールを挙げている。
さらに、チェルシー移籍後のU-20ワールドカップ2023では大会7試合で7ゴールを挙げてゴールデンブーツ賞(得点王)に輝いている。
という経歴が示すように、セントラルMFとしては極めて高い得点力を持っているカサデイ。彼の得点について調べると、ヘディングによるゴールが非常に多いのが特徴的である。
前述の21-22カンピオナート・プリマヴェーラの14ゴールのうち6ゴールがヘディングからの得点、U-20ワールドカップ2023の7ゴールのうち3ゴールはヘディングからの得点である。
192cmと長身のカサデイは、キャリア通算の空中戦勝率が70.5%という非常に高い数字を示しており(5節終了時点、FBref.comより)、エアバトルは得意中の得意と言える。
これを活かし、ゴール前に入っていってターゲットになる。チャンスシーンで必ずゴール前に顔を出す運動量も見事で、これがカサデイがボックス・トゥ・ボックスと呼ばれるゆえんとなっている。
セットプレーでも脅威になれることは言うまでもない。
Cesare Casadei with a perfectly-placed header 👌#TorinoPisa #CoppaItaliaFrecciarossa pic.twitter.com/IRZN289WZn
— Lega Serie A (@SerieA_EN) September 26, 2025
この彼の強みに注目したマルコ・バローニは、カサデイをロングボールのターゲットに指名。
最終ラインから彼めがけて長いボールを当てて、そのこぼれ球を拾うことでシンプルに前進することをビルドアップのメインルートとしている。
これはデータにも表れていて、
〈FBref.comより、5節終了時点のスタッツ〉
- 空中戦勝利総数:19(セリエA3位)
とリーグ屈指の空中戦勝利数となっている。
下の動画の場面はカサデイが競り勝ったところから生まれたチャンスシーン。今季のトリノの狙いとする形が出た場面である。
得点こそならなかったが、競り合いの後ゴール前にまで顔を出してくるところがカサデイの強み。ボックス・トゥ・ボックスたるゆえんである。
豊富な運動量で敵陣でのプレーに特徴を持つカサデイ。中でも得点力が高く、クロスターゲットとしての性能が高いことから、MF分類マトリックス上の「侵入者」に分類できるプレーヤーだといえるだろう。

監督交代の噂が飛び出すなど決してポジティブではないシーズン序盤を送っているトリノ。
タレント力としては上位陣を脅かす台風の目になってもおかしくないクラブだけに、現状は満足いくものではないだろう。
巻き返しのキーマンとして、カサデイには奮闘が求められるところだ。
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ジョーダン・ゼムラ【セリエA選手詳解】

ジョーダン・ゼムラとは何者か
来歴
- ジンバブエ人の両親の元、ロンドンで生まれ育ったゼムラ。6歳のときにQPRの下部組織に入団し、12最になったタイミングでチャールトン・アスレティックに移籍。8年間プレーした。
- しかしトップチームでの出場なく契約を解除されると、トライアルを経てボーンマスに加入、2020年9月15日のEFLカップでプロデビューを果たした。
- ボーンマスで4シーズンプレーしたのち、2023年にウディネーゼに移籍しイタリアにプレーの舞台を移した。今季で在籍3シーズン目を迎えている。
エピソード
- イングランドで生まれ育ったゼムラだが、両親の出身国であるジンバブエ代表を選択している。ちなみに、ジンバブエには2020年時点で2回しか行ったことがなかったそうだ(ゼムラの父親談)。
- 23-24シーズン第25節カリアリ戦でセリエA初ゴールを記録したゼムラ。この得点がセリエA史上初のジンバブエ人による得点となった。
- カンタベリー大学でスポーツ科学を専攻した知性派のゼムラ。父にまずは学業で優秀な成績をとるよう求められてきたそうで、大学で結果を出すまではサッカー選手になるのに反対されていたそう。
- ちなみにこの優秀というのはかなりすごくて、イギリスの著名な大学に進学するための奨学金を受けられる候補者の中に含まれていたのだという。「もしその奨学金制度を受け入れていたら、私は英語か歴史を専攻し、教授として人々に教えていたでしょう」と当時を振り返る。
- ちなみに、引退後の夢を聞かれると、「私は英文学が好きで、将来は本を出版したいんだ」と語った。なかなかのインテリである。
プレースタイル分析
最近、サッカーと並行しながら大学の学位をとる選手が増えてきた印象がある。文武両道がトレンドの時代だ。
だが、その中でもゼムラは特にすごい。成績優秀者だけが受けられる奨学金をもらえる候補者の中に入っていたのだ。当時、プロサッカー選手になれるかはわからなかったそうなので、もはや武より文に傾いているレベルである。
そんなサッカー界きってのインテリプレーヤーであるジョーダン・ゼムラ。ピッチ上でのプレーにも、端々に知性が感じられるからおもしろい。
ゼムラは左ウイングバックや左サイドバックを定位置とするが、ポジションに縛られない柔軟なポジショニングに特徴を持つ。
必要であればハーフスペースに入り込んで相手の混乱を誘うのは彼の得意とするところ。常に周囲の状況を把握し、ピッチを俯瞰して見ながら最善の立ち位置を選択してバランスをとっているのだ。
味方へのサポートランもオーバーラップとアンダーラップを的確に使い分ける。釣りだされた相手SBの背中を突く、いわゆるチャンネルランはゼムラの得意技となっている。
さらに、オン・ザ・ボールでもゼムラは内にも外にも進路を取れるので、相手からすれば止めづらい選手となっている。
その秘訣は、両利きと言っていいほど右足のテクニックレベルも高いことだ。
左足で縦に持ち出すのと同じレベルで、右足で内に切り込める。
その両方を状況に応じて適切に繰り出し、すり抜けていくドリブルはゼムラの持ち味となっている。
昨季の左SB全員紹介という狂気の記事で紹介した通り(自分で言うな)、ゼムラのドリブル突破成功数は24-25の16節終了時点でセリエAでも8位にランクインしていた。
彼のセリエA初ゴールも左足で切り返して内に持ち出し、右足で打ち抜いた見事な得点。これを見れば、彼が両利きであるとするのも納得してもらえるはずだ。
You won’t see a better finesse shot. Absolutely not ☄️🇿🇼#UdineseCagliari pic.twitter.com/XvOma9TiGq
— Lega Serie A (@SerieA_EN) February 20, 2024
さらに、昨季から急速にキック精度を高めている印象もある。
昨季から直接フリーキックやコーナーキックなどプレースキックでのチャンスメイクは際立っていた。実際、レッチェ戦では見事なフリーキック弾を決めている。
What a strike from Jordan Zemura 🎯#UdineseLecce pic.twitter.com/iBmZmDZl2H
— Lega Serie A (@SerieA_EN) October 9, 2024
だが、今季に入ってからは流れの中のクロスボールからのチャンスメイクが明らかに増えている印象。これはデータにも表れていて、
〈FBref.comより、4節終了時点でのスタッツ〉
- ペナルティエリア外から成功させたクロス数:3(セリエA3位)
- ペナルティエリア外から通したパス数:6(セリエA7位)
とペナ外からパスを通して多くのチャンスを作り出していることが見て取れる。
昨季までは大外に張ってクロス供給というオーソドックスなサイドバックタスクに物足りなさを感じる選手という印象だったものの、今季に入ってそこがむしろ強みにまで昇華されつつある。
こうなると、何でもできるオールラウンドなサイドバックとしての大成が見えてきた感じだ。
大外でもアウトサイドでもプレーできて、オン・ザ・ボールでもオフ・ザ・ボールでも質が高い。資質としては技術、戦術、走力のすべてを兼ね備えており、オールラウンドな「マスターSB」に分類されてしかるべき選手だと評価できるだろう。

低い位置からの球出し役をこなしていた試合もあり、司令塔としての資質も垣間見えるゼムラ。本当に何でもできて、いろいろな形でチームに貢献できる好プレーヤーである。筆者個人的に好きな選手のひとりだ。
ウディネーゼ昨季までは同ポジションのハッサン・カマラと併用されている印象が強かったものの、今季ここまではゼムラが明確に序列で上回っている。
いよいよ飛躍のシーズンになるか。1年後にはステップアップしていてもおかしくないタレントなだけに、今季終了後にどこまで評価を高めているか注目したい。
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ニコラ・ザレフスキ【セリエA選手詳解】

ニコラ・ザレフスキとは何者か
来歴
- 生まれも育ちもイタリアのザレフスキ。6歳でサッカーを始め、9歳でローマのプリマヴェーラに加入。以後10年間に渡ってローマの下部組織でプレーし、EL準決勝マンチェスター・ユナイテッド戦でプロデビューを果たした。
- その後もローマでプレーしていたが、なかなかスタメン定着に至らず。2025年2月にインテルにレンタル移籍しハーフシーズン活躍すると、6月にはインテルに買い取られてローマを去ることとなった。
- しかし、それから2ヶ月も経たないうちにアタランタがザレフスキを獲得。完全移籍後はインテルでプレーすることなく退団した。
エピソード
- 母国の共産主義に反対するポーランド人両親の元イタリアで生まれ育ったザレフスキ。イタリア国籍も保有していたが、代表チームはユース年代から継続してポーランドを選択している。
- これは、父クリストフの影響が大きいという。イタリアに愛着を持っていたクリストフはしかし、「私の血はポーランドの血だ。君たちもポーランド人だ」とニコラと妹に語っていたという。そのクリストフは、ニコラがA代表デビューを果たした数日後に癌で亡くなった。
- その当時監督だったモウリーニョには、「サッカー以外のことも含めてとても助けてもらった。」ユース時代は背番号10を背負い攻撃的MFとしてプレーしていたザレフスキをウイングバックにコンバートしたのはモウリーニョである。
- プロデビュー時つけていた背番号59を着用し続けているザレフスキ。インテルでもアタランタでも59を選択している。
- 幼い頃から憧れていたのはトッティとクリスティアーノ・ロナウド。
プレースタイル分析
攻撃的な選手をサイドバックにコンバートする潮流が生まれてきたのは、10年前くらいだったと思う。現在ではよりCBが多い3バックの流行によってWBには攻撃的な選手を置くケースが多くみられるようになっている。
ザレフスキも、そんな潮流の中に身を置くひとりだ。
ユース時代には背番号10を背負ってトップ下やってたザレフスキ。そんな彼をWBにコンバートしたのはスペシャル・ワンことモウリーニョだった。
それ以降、プロキャリアでのメインポジションは左WBになっている。
なぜこのポジションにザレフスキがハマったのか。
一番大きかったのは縦への推進力の高さだろう。爆発的なスプリントとそれを90分間継続する優れたスタミナを持つザレフスキは、ピッチの縦幅をひとりでカバーしなければならないWBに求められる必須条件を満たしていた。
加えてボールスキルにも優れているため、ドリブルで一気に長い距離を運ぶことができる。
〈FBref.comより、3節終了時点でのスタッツ〉
- 縦方向のキャリー総数:10(セリエA10位)
🏍️ Zalewski 💨 pic.twitter.com/w0tXYIY9vl
— Lega Serie A (@SerieA) September 5, 2025
彼は運ぶ局面だけでなく、崩す局面でも威力を発揮するドリブラーだ。
一瞬でトップスピードに乗れるため、縦に持ち出しダッシュするだけで相手よりも前に出てしまう。
アタランタ加入後に左足から放るクロスボールの精度がどんどん向上している感があり、単純に縦突破からクロスを上げても相手の脅威となっている。
ただ、それ以上に際立つのは切り返してからの右足クロスの精度の高さ。味方の頭を正確にとらえ、決定機を演出しまくっている。
↓ 2本連続で切り返してからの右足クロスで決定機演出。
〈FBref.comより、第3節終了時点でのスタッツ〉
- クロス総数:22(セリエA5位)
- アシスト期待値:0.9(セリエA3位)
縦突破からのクロスの脅威が高まっているからこそ、より最も得意な右足クロスが止めずらくなっている印象。
データによる裏付けも相まって、今やリーグ屈指のチャンスメーカーと言っても過言ではないはずだ。
ただ一方で、非保持面では課題が山積である。
よくある言説でWBはSBと比べて守備の負担が小さいというものがあるけれど、アタランタのようにマンツーマン色が強いチームであればあるほど、1人が対人で負けたときに受ける被害は大きくなっていく。
対面の相手に負けないことがマンツーマンを機能させる前提条件となっているからだ。
そういう視点でザレフスキを見てみると、さすがに守備面で不安が強すぎる。
不用意に足を出して縦に突破されたり、相手と距離を執ってはいけない場面で簡単にマークを離してしまったり…とかなり悪目立ちする。
先日のチャンピオンズリーグ開幕戦にて、ユリッチ監督がザレフスキではなくユース所属のベルナスコーニを左WBで起用したのも、PSGの強力なアタッカーとの対面を考えたときにザレフスキがあまりにも頼りなかったからなのではないだろうか。
↓ この場面。軽く足を出してかわされ、失点の原因となった。あまりにも簡単に突破されすぎである。
↓ この場面もそう。アタランタの原則的に考えれば、ザレフスキがついていってスライディングでシュートブロックまで完遂しなければならないはず。さすがに簡単にマークを外しすぎだ。
A fantastic solo effort from Konan N’Dri 🤩#AtalantaLecce pic.twitter.com/RB1VR11jIg
— Lega Serie A (@SerieA_EN) September 18, 2025
というわけで、DFというにはあまりにもお粗末な守備力のザレフスキは、WGとしてマトリックス上に落とし込んでみたい。

スピードもクイックネスも兼ね備えていて、バランスの取れたドリブラー・クロッサーだといえる。
リーグ屈指のチャンスメイク力と、リーグ屈指の軽い守備という諸刃の剣。アタランタというチームにあっては余計にそうだ。
彼をいかに使いこなすかはユリッチの腕の見せ所になりそうだ。
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イドリサ・トゥーレ【セリエA選手詳解】

イドリサ・トゥーレとは何者か
来歴
- 現在ドイツ4部に所属するテベ・ベルリンのユースからRBライプツィヒに引き抜かれたトゥーレ。当時2部に所属していたトップチームでプロデビューを果たしたものの、その1試合のみの出場で退団した。
- その後はシャルケ、ブレーメン、ユベントスのセカンドチームを転々とし、20-21に加入したフィテッセでエールディビジ20試合に出場。初めてトップディビジョンで過ごす1年となった。
- 翌年にはセリエBピサに加入。以降ピサでプレーし続け今季が5シーズン目。昨季はセリエB33試合で6ゴール5アシストと活躍し、昇格の立役者の一人となった。コゼンツァ戦で決めたゴールはファン投票のクラブ年間ベストゴールに選出されている。
エピソード
- ドイツのベルリンで5人兄弟の末っ子として生まれたトゥーレ。両親はギニア人である。相性は「イディ」。
- 本来はセントラルMFだが、現チームでの主戦場は右ウイングバック。本人は「右ウイングバックは本当に好きで私の特性にあっている。でも、MFで出場しても問題ない。ポジションは重要ではなく、私はどこで使われても常に全力をささげる」と語る。
- ロールモデルを聞かれると、モドリッチと答えたトゥーレ。さすがに似ても似つかなすぎるが…。
- 長い下積みを経て初のセリエA挑戦となるトゥーレ。「いつかナポリ、ユーベ、ミランといった大きなクラブと大きなスタジアムで対戦できると思い、試合を見てきた。昇格し、セリエAで戦えてとても幸せ」と語る。
イドリサ・トゥーレのプレースタイル分析
ピサの中でもひときわ目立つトゥーレに興味を持った私は、彼のインタビューを読んでみた。
その中に、「あこがれの選手は?」という定番の質問があった。
トゥーレは答える。「モドリッチがロールモデル。早く対戦したいよ。」
私は思わず笑ってしまった。ウソやん!ほんまかいな!
彼がなぜピサの中で目立っていたかというと、モドリッチばりの華麗なゲームメイクをしていたからではない。アウトサイドパスがとびきりうまいからでもない。
彼は圧倒的な身体能力でサイドを制圧する、フィジカルお化けである。その屈強があまりにも飛び抜けているので、際立って目立っていたのだ。モドリッチとは似ても似つかない。
これは、決して悪いことではない。というかむしろ、ピサの中ではかなりのストロングポイントになっている。
188㎝の長身な上、優れた跳躍力を持っているトゥーレ。おまけに筋肉の塊のような肉体をしていて、体の軸が全くぶれない。だから、トゥーレは空中戦に鬼のように強い。
〈FBref.comより、第3節終了時点でのスタッツ〉
- 空中戦勝率:75.0%
- 空中戦勝利総数:15(セリエA3位)
サイドの選手なんて特に空中戦に強い選手が少ないので、トゥーレは圧倒的な質的優位を生み出している。ビルドアップがそこまで上手ではないピサにあって、トゥーレの頭は避難場所を通り越してメインの進軍ルートのひとつになっている。
相手がプレスに出てきたら、トゥーレの頭に当ててひっくり返す。シンプルだが、止められない。アタランタ戦ではザレフスキがかわいそうになるくらいボコボコにされていた。
空中戦の強さは得点力の源泉にもなっている。
昨季6ゴール5アシストと得点に多く絡んだトゥーレ。セットプレーのターゲットとしてはもちろん、流れの中からでもゴール前に入っていって逆サイドからのクロスに合わせに行ける。
それを90分間繰り返せるスタミナも目を見張る。
走力とフィジカルを兼ね備えるトゥーレはドリブルによる長距離キャリーも持ち味。テクニカルではないが、ゴリゴリと運んで距離を稼ぐ。
多少タッチが乱れても、リーチの長さを活かしてカバーできるのが彼のずるいところ。ミスがむしろ相手に足を出させるよう誘っているかのようになってしまっている。
〈FBref.comより、3節終了時点のスタッツ〉
- プログレッシブキャリー(縦方向に10ヤード以上前進したキャリー):6(チーム内2位)
- キャリー総距離:264.3m(チーム内トップ)
さらに、ただボールを運ぶだけでなく、そこからのクロスボールによるチャンスメイクまで完結させられるのが彼の強み。
意外にも浮き球によるクロスとグラウンダーの折り返しを器用に使い分けられ(失礼)、チャンスメーカーとしてもチーム内で重要な立ち位置を占めている。
〈FBref.comより、3節終了時点でのスタッツ〉
- SCA(Shot Creating Action):9(チーム内トップ)
- ペナルティエリア外からのクロス成功数:3(セリエA3位)
↓ ピサの今季初ゴールもトゥーレのクロスボールが起点になって生まれている
というわけで、トゥーレをSB分類マトリックス上にプロットすると、クロッサーSB寄りのフィニッシャーSBといったところになるだろう。

ゴリゴリのフィジカルプレーヤーであり、モドリッチをロールモデルにしているようには見えないトゥーレ。それでも、突き抜けたフィジカルでピサにとって欠かせない選手となっている。
その制圧力はセリエAでも屈指であり、苦しい戦いが続くクラブにとって希望となっている。
ピサの残留はトゥーレの手にかかっている。
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タティ・カステジャーノス【プレースタイル詳解】

タティ・カステジャーノスとは何者か
来歴
- アルゼンチン出身ながら、リバープレートの入団テストに不合格となり、ラヌースにも体格を理由に契約を拒否されたため17歳でチリに移住。ウニベルシダ・デ・チリでユース年代を過ごし、そのままチリでプロデビューを果たしている。
- 2017夏にウルグアイ2部のモンテビデオ・シティ・トルケにレンタルされ、クラブ史上初の2部優勝・1部昇格に貢献した。
- 2018夏、モンテビデオ・シティ・トルケと同じシティ・フットボール・グループに所属するMLSのニューヨーク・シティに完全移籍すると、4年半でリーグ戦109試合50ゴール18アシストを記録。2021年シーズンにはリーグ得点王に輝いた。MLS得点王となったアルゼンチン人は彼が初である。
- 2022夏、またもシティ・フットボール・グループ内移籍によりジローナに加入すると、欧州初年度から公式戦通算14ゴールを記録するなど活躍した。
- 2023夏、セリエAのラツィオに完全移籍し初年度は公式戦通算6ゴール3アシストを記録。インモービレが退団した昨季は前線の主柱として同14ゴール5アシストを記録した。
エピソード
- アルゼンチン出身ながら、アルゼンチンリーグでのプレー経験がない。チリ、ウルグアイ、アメリカを経由して欧州上陸という異色の経歴の持ち主である。
- カステジャーノスがチリに移住するきっかけになったのは、父ディエゴ。彼はタティがやってくる前からチリに住んでおり、7年間家族と会っていないなど断絶状態だったという。もともとディエゴはタティを下宿に送るつもりだったというが、タティが一緒にいたいと告げたために和解したそうだ。
- プロデビュー当初のカステジャーノスはウインガーだったらしい。ウルグアイ2部時代にセンターフォワードに転向し、そこから這い上がった。
- MLS時代、ニューヨークという夢の町に住んでいたカステジャーノスはしかし、キャリアに焦点を当てて夜はほとんど外に出ず、自分で料理して過ごしたという。
- A代表に関して、カステジャーノスはチリを選択する権利を持っており、またアメリカに帰化するという案もあったという。しかし、本人はアルゼンチン代表でのプレーを熱望。ラツィオ移籍後の2024年9月に初招集・代表デビューを飾った。代表として初出場した試合の相手は、奇しくもチリである。
- 22-23ラ・リーガ第31節、カステジャーノスはレアル・マドリードに対して4ゴールをマーク。レアルが1人の選手に4失点を喫したのは1947年以来76年ぶりの出来事だったそうだ。
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銀河系軍団相手に
衝撃の1試合4ゴール‼⚡
\24歳カステジャーノスが
レアル相手に1試合4発を決めた今世紀初の選手に👏👏🏆ラ・リーガ第31節
🆚ジローナ×レアル・マドリード
📺 #DAZN 見逃し配信 pic.twitter.com/Q5e0CUmUYT— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 25, 2023
プレースタイル分析
サッリボールがやりたいことを簡単に説明すると、「二歩進んで一歩下がる」である。奥の味方に縦パスをつけて、レイオフで前向きの選手を作る。以下繰り返し。
ディテールはいつか出すつもりのチーム戦術詳解に譲るとして、なぜ一歩下がる必要があるのかを考える。それは縦パスを受けた選手は、背後から相手に寄せられているからである。
無理してターンするリスクを負うくらいなら、パスを1本増やして前向きを作るのだ。逆に言えば、寄せてくる相手がいないならあえてバックパスする必要はない。
つまり、「二歩進んで一歩下がる」はすべて相手の最終ラインの前で行われる行為ということになる。
相手DFラインの選手からすれば、自分の手前で、自分の視野の中でテンポよくボールが回っている状況。どんどん視線がボールにくぎ付けになり、前へ前へと意識が向いて行く…。その瞬間、突如として裏へのロングパスが出てきたら、不意を突かれるはずだ。
そうか、裏という選択肢もあるのか。そう意識するだけで前へ出る守備がやりづらくなる。だから、アタッカーが裏のスペースをアタックすることは大事なのだ。
流麗なショートパスのイメージが強いサッリボールだが、この「突然ひっくりかえすタッチダウンパス」を大切にしている。ボールが相手の目の前でよく動くからこそ効果的だし、直接チャンスにつながらずともこれがあることでライン間が広がり、「二歩進んで一歩下がる」を実行するためのスペースが広がることにもつながる。一石二鳥なのだ。
そして、今季のラツィオにおいてタッチダウンパスの受け手として重要な役割を担っている選手こそ、今回の主役タティ・カステジャーノスである。
カステジャーノスは、しつこいくらいに裏のスペースをアタックする。それも闇雲に走り回るだけでなく、味方がパスを出せるここぞというタイミングで裏へ走り出す。パスを出したくなる、そんな動き出しである。
↓ エラスヴェローナ戦、裏のスペースで起点になりまくるカステジャーノス。
さらに、パスを受けた後のプレークオリティの高さも無視できない。
元ウインガーであるタティは非常にテクニックに優れ、前線でボールを収めればラストパサーとしても機能する。
下の動画にはカステジャーノスのよさが詰まっているので見てほしい。
The lay-off from Castellanos 💯
The finish from Guendouzi 👏#LazioVerona pic.twitter.com/EDKDgf8RaM— Lega Serie A (@SerieA_EN) September 1, 2025
こいつ半端ないって。後ろ向きのボールめっちゃトラップするもん。そんなんできひんやろ普通。
からの、軸足を抜いた丁寧なラストパスでゴールをお膳立て。こいつ半端ないって。
そこに至る前段階の動き出しのタイミングも素晴らしいのは言うまでもない。
さらに、こちらの動画を見てほしい。
Mattia Zaccagni and Taty Castellanos link up to produce a masterpiece 🖼️🪄#LazioVerona pic.twitter.com/0vyY6Q0Gmg
— Lega Serie A (@SerieA_EN) September 1, 2025
ラボーナでアシスト。そんなんできひんやろ普通。
だが、注目すべきはむしろボールを受ける前の動き。裏へのランを見せておいて、相手CBが釣られたらコースを変更。手前に引いてフリーとなり、壁パス役を完遂した。
相手ペナルティエリア内でラボーナできるくらいの余裕を作り出す動きの質にこそタティの本質がある。
相手に合わせて動き方を変えられるのはカステジャーノスの大きな強みだ。彼はただの裏抜け野郎ではないのだ。
ライン間が広がっていれば、裏のスペースが消されていれば、中盤へ引いて行ってくさびのパスを引き出すこともできる。「二歩進んで一歩下がる」の二歩を刻むパスの受け手にもなれるのだ。
↓ 引いてボールを受けたところから絶妙スルーパス。やっぱりラストパサーとしての性能がめちゃ高い。
第一期サッリ政権時のストライカーは、あのインモービレだった。彼も瞬間的な裏抜けが得意で、タティと同じようにタッチダウンパスの受け手となっていた。
だが、中盤に引いてきて味方とリンクアップするようなプレーは得意ではなく、ボールを収めて味方に渡す程度のプレーはしても、そこからサイドへ展開したりラストパスを出したりと言ったプレーまではできなかった。
その点、タティはより万能。裏へ飛び出せて、中盤に引いて連携に参加できて、前を向けばラストパスを出せる。10年前なら背番号10を纏いトップ下としてプレーしていたような選手だろう。
得点力ではインモービレの方が上かもしれないが、サッリボールに与えるトータルの影響力はタティの方が上であろうと思われる。
インモービレがイグアインで、カステジャーノスがメルテンス、みたいな。ちょっと違うか。メルテンスも相当点を取っていたし。
カステジャーノスも点を取れる男だ。トップ下っぽい彼がセンターフォワードとして起用される理由はそこにある。
前述のように相手CBとの駆け引きに長けるタティは、ゴール前でフリーになる術を知っている。178cmと現代ストライカーとしては小柄だからこそ、相手からフリーになって点を取ることを極めてきたのだろう。
↓ このゴールなんか最高だ。ニアに抜けると見せかけて相手を押してファーにスペースを作り、フリーになって合わせる。南米のストライカーっぽくていい。
ただし、単純に競り合ってもタティはめちゃ強い。なぜなら跳躍力がえげつないから。タイミングの妙も手伝って、相手DFの上から叩く場面も多く見られる。
まだたった2試合だけど、今季カステジャノースの空中戦勝率は100%。ラツィオに来てからどのシーズンも勝率50%超と勝ち越していて、身長のことも加味して考えると有為に空中戦に強いFWだと言っていいだろう。
ゴール前でクロスターゲットになるという、ザ・ストライカータスクまでこなせるのもまたカステジャーノスの強みなのだ。
カステジャーノスのプレーをFW分類マトリックス上に落とし込むと下のような感じだろう。

広範囲を動きながらボールに絡めて(ダイナミックポスト)、味方とのリンクアップも得意とする(ダイレクトポスト)。
本稿では触れなかったが、中盤に引いたところからのミドルシュートも持っている。どんなフィニッシュワークにも対応できる幅の広さが特徴だ。
カステジャーノスは今季のサッリ政権における戦術上のキーマンだ。ショートパスの流れにも参加できるし、そこから分離したところで裏のスペースをアタックし続けられる。その二刀流っぷりから、影響力は絶大だ。

中盤に引いてきてくさびを引き出すタティ。 
その5秒後の場面。自分が引いてきて空いたスペースを自分で使うべく飛び出す。これが二刀流たるゆえん。ラツィオのオオタニサン状態である。 こうした戦術上のタスクをこなしながら、いかに得点に絡めるか。2節ヴェローナ戦は1ゴール2アシストの大活躍だったが、こうしたプレーを継続的に見せていく必要がある。
今季は欧州カップ戦出場がなく、改めて欧州の舞台への返り咲きを目指すラツィオ。その成否を握るカステジャーノスに注目だ。
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アレックス・ヒメネス【プレースタイル詳解】

来歴・エピソード
- マドリード州のレガネスで生まれたアレックス・ヒメネス。地元クラブのタラベラCF、UDタラベラを経て7歳の時にレアル・マドリードのカンテラに入団した。
- カンテラ入団当初はフォワードとしたプレーしていたヒメネス。その後右ウイングに転向し、最終的には左サイドバックとしてプレーするようになった。
- 2023夏にACミランにレンタル移籍したヒメネスは、2024年3月にミランに完全移籍。レアル・マドリードに対して買い戻し条項が付与されているとされている。
- テニスとスカッシュの要素を持ったラケットスポーツ、パデルにも情熱を注いでいるそうだ。
- レアル・マドリード時代には尊敬する選手としてトレント・アレクサンダー=アーノルドを挙げている。
- 一方、ミラン移籍後はテオ・エルナンデスにアイドルを変更したようだ。
- 元スペイン代表MFで現在は指導者として活躍するフレン・ゲレーロは、ユース年代のスペイン代表で実際にアレックス・ヒメネスを指導した人物。曰く、「アレックスはミランでプレーしたカフーに似ていると思う」。
プレースタイル
レアル・マドリードのカンテラからミランに引き抜かれた左ラテラル、アレックス・ヒメネス。まだ20歳の誕生日を迎えていないが、徐々に出番を増やし重要な戦力のひとりになりつつある。
本来は左SBを本職とするヒメネスだけど、右サイドでもプレー可能で、何ならSBだけでなくWGでもプレー可能。サイドならどこでもやれるスペシャリストといったところだ。
なぜ彼がサイドならどこでもこなせるのかというと、彼の最大の武器がドリブルだからだろう。
ヒメネスはボールを持てば積極的にドリブルを開始、長い距離を運んだりドリブル突破を仕掛けたりと、縦への推進力をチームにもたらす。サイドバックなのにドリブラー、なんだかサイドバックっぽくない。だからウイングもできるという判断だろう。

FBref.comより、ヒメネスを5大リーグのサイドバックと比較したときのパーセンタイル。キャリーは99、ドリブル突破成功は98とともにカンストと言っていい数字。ドリブル小僧SBっぷりが際立つスタッツである。 テオほどスピードはないものの、長い距離を運ぶ推進力はまさにテオをほうふつとさせるそれ。何よりドリブルで仕掛けるんだというメンタリティ。ふつう10代のサイドバックが、セリエAの歴戦の戦士たち相手にこんなにドリブルで仕掛けられない。アグレッシブで、闘争心あふれるパーソナリティこそ彼の武器と言えるかもしれない。
長年探し続けていたテオの後継者がついに見つかったかもしれない。それなら両サイドにテオを置いちゃおう!ということで、最近のヒメネスは右サイドバックとしての出場が増えている。
ただし、大先輩はただのドリブル野郎にあらず。別項で解説している通り、テオは「司令塔SB」としても優秀だし、「ストレートランナー」でもあって「フィニッシャーSB」でもある。ああ見えてかなり万能型なのだ。
それと比べるとヒメネスはまだドリブル特化のドリブル小僧。ゲームメイク、チャンスメイクはまだまだ発展途上で、オフ・ザ・ボールのランニングの質ももっと上げていきたいところだ。
また、対人守備にも磨きをかけたい。
初速で出遅れて相手に振り切られてしまう場面が散見され、守備力はお世辞にも高いとは言えない。まだ大きな伸びしろを残しているととらえたいところだ。
↓ ヒメネスが振り切られて上げられたクロスから失点したシーン。
Dan Ndoye sealed the comeback win for Bologna ✍️#BolognaMilan pic.twitter.com/1qpn2otrOm
— Lega Serie A (@SerieA_EN) February 28, 2025
アレックス・ヒメネスはSB分類マトリックス上の「ドリブラーSB」に分類できるだろう。
良くも悪くも昔のテオを見ているようで、なんだか懐かしい感じだ。
お手本となる先輩のように、プレーの幅を広げて完成度の高いSBになってもらいたいところだ。
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アルベルト・モレノ【プレースタイル詳解】

来歴・エピソード
- セビージャユース出身。
- そのままセビージャでプロデビュー、在籍期間中にU-21EUROとチャンピオンズリーグを1度ずつ制覇。
- 2014夏にリバプールに移籍し4シーズンプレー。最終年にはチャンピオンズリーグ優勝メンバーに。
- 2019年夏にフリーでビジャレアルへ移籍。5シーズンプレーし公式戦通算123試合8ゴール10アシストを記録。
- 今夏、同胞のセスクの誘いを受けてコモに加入。セリエA初挑戦となっている。
- リバプール時代に同僚だったルイス・アルベルト(元ラツィオ)とは家族ぐるみの付き合いだった。
- 国内外のリバプールファンの間でジェラードとシャビ・アロンソの中間のような見た目をしていると話題に。
アロンソ+ジェラード=アルベルト・モレノpic.twitter.com/bX43jnT1aQ“
— CHELS/CREAM (@mizunoshingo) December 30, 2014
- ラボーナでコーナーキックから直接ゴールを狙える。
Sorry guys @VirgilvDijk #sadiomane @LFC pic.twitter.com/8izBzgV3YD
— Alberto Moreno (@18albertomp) April 18, 2018
プレースタイル
セビージャ、リバプール、ビジャレアルという錚々たるクラブ遍歴を持つビッグネームがコモに加入、さすがの格の違いを見せている。
タッチライン際を疾走するオーソドックスなSB…というイメージを勝手に持っていたのだが、実際のプレーを見てみたら想像以上の万能っぷりで驚かされた。
セスク監督のもと、ボール保持に機軸を置いたスタイルを志向するコモ。そのビルドアップにおいて中核となっているのがこのモレーノだ。
左足のキック精度の高さはもちろんのこと、それ以上に目を引くのは柔軟なポジショニング。さかんにMF化して中盤からボールを配給、攻撃の方向を司る司令塔として躍動しているのだ。
〈FBref.comより、15節終了時点でのスタッツ〉
- パス総数:735(チーム内2位)
- ファイナルサードに届けたパス数:44(チーム内2位)
- プログレッシブ(縦方向の前進)パス数:53(チーム内2位)

SofaScoreより、今季のモレーノのヒートマップ。ハーフスペースにも広くプレーエリアが分布しているのが特徴的だ。 さらに、崩す局面ではWGをサポートしながら機を見たクロスボールを供給しチャンスメーカーとしても振る舞う。
縦にえぐってからの折り返しも、アーリークロスも質が高いのはさすがと言ったところだ。
柔軟なポジショニングと高いキック精度を活かして攻撃の全局面に絡んでいくアルベルト・モレーノ。SB分類マトリックス上の「マスターSB」に分類するべきプレーヤーだろう。
ピッチ上で見せているポジティブな印象とは裏腹に結果がついてこず、降格圏すれすれをさまよっているコモ。残留に向けたキーマンは間違いなくモレーノだ。